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グラフィックモニタとは
近年発売されている人工呼吸器には、液晶画面が表示されており『気道内圧,フロー,換気量』を表示することができます。
フクダ電子のサーボiでは、そのまんま3つが順番に表示されています。
サーボi (ベンチレータを使いこなすための人工呼吸器学シリーズ)
このようなモニタをグラフィックモニターといいますが、これらの波形は、肺のコンプライアンスに影響されることから、患者の病態や治療効果を判断する重要な診断材料となります。
今回は、人工呼吸器の『気道内圧、フロー、換気量』の基本波形を紹介して、グラフィックモニタを読み取る基礎知識を習得することを目標とします。
波形の見方の基礎知識
それでは、「圧波形、フロー波形、換気量波形」について順番に説明します。ただ、この波形の形は、PCVとVCVで大きく異なります。今回は、人工呼吸器の喚起モードとして使用頻度の高い、PCV(圧制御喚起)についての基本波形を紹介します。
1.圧波形の味方

圧波形では、横軸に時間(秒)、縦軸に圧力(cmH2O)が表されます。圧波形の圧は、人工呼吸器装着患者の気道内圧を表します。グラフより、気道内圧の変化を継時的に観察することができます。
上の図では、少し呼気時間を短くしすぎてしまいましたが、PCVでは、一定の圧力をかけて喚起をする為に、長方形型の波形が見られます。
2.フロー波形の味方

フロー波形は、吸気と呼気に空気が流れるスピードを継時的に表したグラフです。横軸に時間(秒)、縦軸にフロー(L/min)が表されます。波形の上側が吸気流量で、下側が呼気流量を表しています。上の図は、PCVでの一般的なフロー波形です。吸気の開始がフロー(流量)が早く、時間の経過とともに低下します。
PCVでのフロー波形は、直角三角形を頭に入れておいてください。
3.換気量波形の味方

換気量波形では、横軸に時間(秒)、縦軸に換気量(L)で表されます。換気量というのは、肺の中に入ったガスの量です。吸気の最後が、換気量のピークになり、呼気に移行すると肺内のガスが減っていきます。
まとめ
今回は、人工呼吸器の波形を学ぶ上でもっとも基本的な基礎知識について紹介しました。次回は、今回紹介して波形が、PCVとVCVとでどのように変わるかについて紹介しようと思います。
最後に、PCVでの「圧波形、フロー波形、換気量波形」がまとまった資料を見つけたので紹介して終わります。上から順に、圧波形、フロー波形、換気量波形(ボリューム波形)が表示されています。参考にしてください。

山田芳嗣(監):人工呼吸中のグラフィックモニタリング,ドレーゲル・メディカル社,2006より
参考文献
サーボi (ベンチレータを使いこなすための人工呼吸器学シリーズ)
クリニカルエンジニアリング2010Vol21
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