肺の、喚起に影響を及ぼす因子は、『PAO2、拡散、喚起血流比、シャント』があります。
今回は、その中で喚起血流比について説明します。
それでは、はじめましょう!
目次(クリックすると移動します)
喚起血流比とは
喚起血流比というのは、(単位時間当たりの)肺の換気量と肺の血流量の比率のことです。
計算式で書くと
「喚起血流比=換気量/血流量」 です

例えば、体重50㎏の成人の場合、分時換気量は5L/minで心拍出量は6L/min程度です。
この場合の、喚起血流比は、
喚起血流比=換気量/血流量 なので
喚起血流比=5÷6=0.8 となります。
計算の通り、肺全体の平均的な喚起血流比は、0.8であり、この割合が最も効率よくガス交換ができる割合といわれています。
肺の部位による喚起血流比の違い
肺全体の平均的な、喚起血流比は「0.8」程度と紹介しました。しかし、この喚起血流比の値は、肺の部位により違います。なぜなら肺胞の膨らみ方や、血流量は重力や気圧の影響を受けるので部位により変わるからです。
(参照:肺循環の特徴)
肺血流は、重力の影響で肺底部はたくさんの血液が流れます。一方、肺尖部では血流が少なくなります。

立位の肺血流の違い
肺胞の換気量については、肺尖部の肺胞は換気量が少なく、肺底部は換気量が多くなります。なぜなら、肺底部は気圧が高いので呼気終了時により小さく肺胞が縮むので、吸気時にたくさんの空気を取り入れることができます。
肺尖部は、気圧が低いので呼気終了時も少し膨らんだ状態になっています。その為、吸気時に取り入れるガスの量が少なくなるのです。

肺尖部と肺底部のガス交換量の違い
肺尖部は、換気量が少なく血流がすくない。肺底部は、換気量が多く血流も多いです。
その為、一見すると喚起血流比は肺尖部も肺底部も一定になるのではないか?と疑問に思うかもしれません。

それでも、喚起血流比に違いが出る理由は、肺の部位による換気量の変化よりも、肺の部位による血流量の変化の度合いがはるかに大きいからです。
肺尖部は、換気量が少ないけど、血流量はめちゃくちゃ少ないのです。その為、肺尖部の喚起血流比は、「3」程になります。(分数の場合は、分子が小さくなるほど数が大きくなります。)
肺底部は、換気量が大きいですが、血流量がめちゃくちゃ多いです。その為、流れる血液全てに酸素を供給することができなくなります。その為、喚起血流比は「0.8以下」となります。

実際に適当な数字を入れてみたら、わかりやすいかもしれません。

こんな感じで、血流量の変化が大きいのでV/Q比が変わります。
まとめ
- 喚起血流比というのは、換気量と血流量の比率のことで、「V/ Q比」と表す。
- 喚起血流比は、重力による血液流量の影響が大きい。
- 肺尖部ではV/ Qが大きく、肺底部では、V/Qが小さい。
- 効率よくガス交換するための、V/ Q比は「0.8」である。
最近のコメント