『Respironics V60ベンチレータ』の喚起モードについて(フィリップス, PHILIPS) 

Respironics V60 ベンチレータは、NPPV専用の人工呼吸器です。今回は、V60に搭載されている喚起モードとその設定法について紹介します。

喚起モード

 

CPAP(持続的起動陽圧)

CPAPとは

CPAPとは、Continuous Positive Airway Pressureの略称で、持続的に起動内に一定の圧力をかけ続ける喚起モードです。

また、V60のCPAPには付加的な機能が付いており、患者の呼気中ににCPAPによる圧力を低減させて、患者の呼気をやりやすくして、CPAPによる不快感を軽減させることが出来ます。この設定は、CPAPの設定項目のうち、C-Flexにより調整することが出来ます。

CPAPの条件設定

CPAP

CPAPによる加圧する圧力です。CPAPのモードでは、常にここで設定した圧力が気道内にかけられます。

C-Flex

患者の呼気時に、CPAPによる加圧を弱める設定です。呼気時に、気道内圧にかけるCPAPを弱くすることにより、息を吐きやすくなります。

 

S/T(Spontaneous/Timed)

S/Tモードとは

Spontaneousとは『自発的な,任意の』という訳になります。この喚起モードでは、基本的には、PSVと同様の喚起モードであり、患者の吸気努力に同期して、患者の吸気に補助して空気を送り込みます。ただし、患者の呼吸数がなくなったり、少なくなった場合は、圧力制御型の強制換気を行います。
上記のように、PSV+PCVのような喚起モードであり、ユーザーの設定した喚起回数を保障することができます。

S/Tモードの条件設定

IPAP

IPAPは、吸気時に気道内にかける圧力です。S/Tモードでは、吸気時にIPAP(高い圧力)に設定して、気道内に空気を送り込みます。そして、呼気時にEPAP(低い圧力)に気道内にかける圧力を切り替えます。このように、S/Tモードでは、IPAPとEPAPを繰り返して、喚起を行います。

EPAP

EPAPは、呼気時に気道内にかける圧力です。呼気時には、息を吐き出すため低めの圧力に設定します。

Rate

Rateでは、1分間の喚起回数を設定します。

I-time

I-timeとは、吸気と呼気による1呼吸のサイクルにおいて、吸気時間を設定する項目です。通常人工呼吸器の喚起モードでは、吸気:呼気=1:2と、呼気のほうが長くなるように設定します。ちなみに、吸気と呼気による1呼吸の時間は、60秒を呼吸回数で割ることにより求めることが出来ます。

Rise

Riseは、『立ち上がる』という意味があります。

今回の場合では、IPAPの圧力をどのようにかけるかです。短時間で急激に圧力をかけたり、ゆっくり設定圧力に調整したりなど調整することが出来ます。

O2

O2は、供給するガスの酸素濃度です。

 

PCV(従圧式調整喚起)

PCVとは

PCVとは、pressure control ventilation の略称で、従圧式調整喚起という訳になります。一定の間隔または、患者の吸気努力に感知して、一定の圧力を気道にかけて空気を送ります。

PVCの設定項目

S/Tモードと同様の設定項目です。

「IPAP、EPAP、Rate、I-time、Rise、O2」を設定します。

 

AVAPS(Average Volume Assured Pressure Support)

AVAPSとは

Assuredは、『保証された,確実』といった意味があります。AVAPSは、1回換気量を設定して、指定した1回換気量を確実に供給する喚起モードです。患者の自発呼吸がある場合は、量補助喚起(VSV)により、自発呼吸にサポートして、設定換気量になるように、サポートします。患者の呼吸が、設定喚起回数で決められた間隔内にない場合は、強制呼吸(VCV)を行います。

AVAPSの設定項目

VT

VTとは、tidal volumeの略称で、1回換気量のことです。VTのほか、TVと記載されることがありますが同様の意味です。AVAPSでは、量規定喚起になるので必ず1回換気量を設定する必要があります。

EPAP

EPAPは、呼気時の圧力です。一般的な、人工呼吸器におけるPEEPと同様のものとなります。

Rate

Rateは、分時喚起回数です。1分間に何回呼吸をさせるかを設定します。ちなみに、60秒をRateで割った値が、1呼吸のサイクル時間(吸気+呼気の時間)になります。この時間内に自発呼吸が無ければ、強制呼吸(VCV)が発動します。

Min P

Min Pは、吸気時に人工呼吸器により加えられるガス圧力の最小の圧力です。

Max P

Max Pは、吸気時に人工呼吸器により加えられるガス圧力の最大の圧力です。気道内圧が上昇しすぎることによる、背損傷を防ぐために設定します。

以下の項目も設定する必要がありますが、上記で説明したため省略します。

「I-time、Rise、O2」


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