目次(クリックすると移動します)
結核とは
結核とは、結核菌により起こる呼吸器感染症のことです。感染経路は、空気感染であり、咳の飛沫などで感染します。
1950代までは、わが国の死因の上位を占めていましたが、抗結核薬(ストレプトマイシンなど)の発明により感染者と死亡率は大幅に低下し降伏したように見えました。
しかし、1990年頃より再び増加しており、現在は多剤耐性結核菌の発症や集団感染が問題となっています。
結核菌感染後の流れ
結核菌に感染してから発症までの生体の様子を説明します。
- 肺胞内で増殖した結核菌が滲出性病変(初感染病巣)をつくる。
- マクロファージに貧食された結核菌の一部は、肺内リンパ節で滲出性病変をつくる。
- 肺胞と、肺内リンパ節の滲出性病変を合わせて初期変化群と呼ぶ。
- 初期変化群の多くは自然治癒するが、まれに肺結核を発症することがありこれを一次結核(初感染結核)という。
- 初感染が自然治癒すると、結核菌は休眠するが、患者の免疫低下などにより再び結核菌が増殖して、結核を発症する場合がある。これを二次結核症という。
結核菌に感染したからといって、直ぐに発症する人はごくわずかです。多くは、高齢者などに二次結核症として発症します。
診断方法
症状
- 湿性咳喇(しっせいがいそう)・・痰のある咳
- 微熱、倦怠感、体重減少
検査
- 胸部エックス線
典型的には、上葉やS⁶領域(下葉の上側面)に浸潤性陰影や多発性の結節性陰影(~3㎝の影)を認めます。結節性陰影の場合は、過去に感染して自然治癒した後の石灰化に見られます。空洞形成(ドーナツ状の丸い影)が認められることもあります。

S⁶の位置

結核(上葉の陰影)

結核(空洞形成)
(https://www.keiyukai-group.com/health-support/about/thorax/より引用)
- 喀痰検査(塗抹検査、培養検査)
- 遺伝子診断法
塗抹検査が陽性でも診断を確定せず、培養検査が陽性なら診断を確定します。ただし、培養には時間がかかるので遺伝子診断や塗抹検査などで陽性となれば治療が開始されます。
結核の治療
標準療法Aと標準療法Bの方法があります。基本的には、標準療法Aを行いますが、肝障害などでPZAが使えない場合に標準療法Bを行います。
- 標準療法A(6ヶ月)
INH、RFP、PZA、EB(またはSM)の4剤で2ヶ月
その後、INH、RFP(+EB)で4ヶ月 - 標準療法B(9ヶ月)
INH、RFP、EB(またはSM)の3剤で6ヶ月
その後は、INH、RFP(+EB)で3ヶ月
略語の説明
INH(イソニアジド)
RFP(リファピシン)
PZA(ピラジナミド)
SM(ストレプトマイシン)
EB(エサンブトール)
抗生剤の略語と名称は面倒ですが頑張って覚えましょう!(^^)/
まとめ
以下の説明ができるようにしましょう。
- 感染から発症までの流れ
- 診断方法(症状、レントゲン、培養)
- 治療法
最近のコメント