今回は、肺に関わる血管について学んでいきます。どのような血管があるのか?どのように血管は走行しているのか?ということを意識して覚えてください。
ちなみに肺の血管は、「大循環系と肺循環系」に大別されます。まずは、大循環系と肺循環系について復習しておきましょう。
目次(クリックすると移動します)
「大循環と肺循環」の復習
大循環系とは
大循環系とは、酸素化された血液や栄養を体の組織に運ぶ経路です。全身に送られた血液は、大静脈から右心房に戻ります。
左心室→大動脈→全身→大静脈→右心房

肺循環系とは
肺循環系とは、静脈血を肺でガス交換するための経路です。
右心室→(左右)肺動脈→肺→肺静脈→左心房

このように、肺循環と大循環は、同時に行われています。

肺循環に関わる血管
肺循環に関わる血管をもう少し詳しく見ていきましょう。
右心室→左・右肺動脈→(左右)肺→右上・下肺静脈、左上・下肺静脈→左心房

- 右心室から1本の肺動脈が出て、直ぐに左右の肺動脈に分かれる
- 左右の肺動脈は、それぞれの肺にて複数に分岐しながら気管支に併走しながら肺毛細血管まで達してガス交換を行う。
- 肺静脈は、気管支と併走しないで直線的に肺門部に向かって流れる。
(参照:http://www.i-l-fitness-jp.com/aboutbody/circulatory-system/vein/img/hai-img-7.jpg) - 肺門より右上・下肺静脈、左上・下肺静脈より、左心房に入る
ポイントは、肺動脈は気管支に沿って併走するが、肺静脈は気管支と併走しないということ。
大循環に関わる肺の血管
大循環に関わる肺の血管について
左心室→下行大動脈→気管支動脈→気管支~細気管支→気管支静脈→(肺静脈→左心房)、(奇静脈→右心房)

- 気管支動脈は、たいていは左心室から出る「下大動脈」より分岐(枝分かれ)する。
- 気管支動脈は、さらに左右に分岐して右気管支動脈と左気管支動脈に分かれて左右の気管支に沿って肺に入る。
- 肺に入った気管支動脈は、気管支~細気管支までに分布して酸素・栄養を送る。
- 気管支静脈は、気管支動脈により運ばれた血液を心臓に帰す血管です。ただし気管支静脈の走行は、はっきりと解明されていない。
- 肺内の気管支静脈は、肺静脈と合流して左心房に戻る。肺外の気管支静脈は、奇静脈、反奇静脈より右心房に戻る。
※通常の大循環では、右心房に血液が戻ってくるが、大循環に関わる肺の血管は、左心房、右心房の両方から血液が戻ってくるので注意。
肺の血管まとめ
- 肺循環・・・ガス交換の循環。肺動脈・肺静脈が関与する。
- 肺動脈・・・気管支に併走
- 肺静脈・・・気管支に併走しない。肺門に向けて走る。
- 大循環・・・組織に酸素・栄養を送る循環。気管支動脈と気管支静脈が関与する。
- 気管支動脈・・・下大静脈より分岐。気管支に沿って肺に入り、気管支から細気管支に分布する。
- 気管支静脈・・・走行は明らかになっていないことが多い。肺内の気管支静脈は肺静脈より右室にもどる。肺外の気管支静脈は奇静脈より左心房に戻る。
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