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スパイロメトリーとは
スパイロメトリーとは、被験者の口元における呼吸を測定して、各種の肺気量を求める検査です。検査により求められた波形より、『1秒率、1秒量、肺活量』を求めて、呼吸器疾患の診断に利用します。今回は、スパイロメトリーにより得られた波形である肺気量分画の見方を中心に紹介します。
『1秒率、1秒量、肺活量』については、別の項で紹介します。
スパイロメトリーでの測定方法
スパイロメトリーでの測定は以下の手順で行われます。
①鼻をクリップでつまんで、空気が漏れないようにします。
②スパイロメトリーのマウスピースを口にくわえて、まずは、数回の安静呼吸をします。(1回呼吸量の測定)
③つづいて、おもいっきり空気を吸います。そして、おもいっきり空気を吐き出します。(肺活量の測定)
④測定された肺気量分画より『1秒量、1秒率、肺活量』などを計算して求めます。
肺気量分画の見方
スパイロメトリーにより肺気量分画が求められます。肺気量分画は、以下のようになります。様々な項目があります。一つずつ簡単に説明します。
なお、呼吸療法認定士の試験ではこれらの略語が問題に出題される場合があるので、意味と略語をしっかりと覚えておきましょう。略語を覚えるには、少々面倒ですが英語での正式な言い方をおおまかに覚えるおぼえやすいです。

肺気量分画
全肺気量(TLC:total lung capacity)
全肺気量は、おもいっきり息を吸い込んだ時の肺全体の容量です。英語で、「total lung capacity(トータル ラング キャパシティ)」といいます。「total」→「全ての」、「lung」→「肺」、「capacity」→「容量」それぞれの頭文字をとって、TLCと略語で表されます。
全肺気量は、肺活量+残気量の値になります。スパイロメトリーでは、残気量を測定できない為、全肺気量は測定できません。スパイロメトリーで測定できない項目について試験で聞かれることが良くあるので、しっかり覚えておきましょう。
肺活量(VC:vital capacity)
肺活量は、空気をおもいっきり吸い込んだ後、限界まで吐き出した空気の量です。吸い込んだ量ではなく、吐きだした量というのがポイントです。肺活量は、普段からよく耳にするのでなじみ深いと思います。
英語では、:vital capacity(バイタル キャパシティ)といいます。「vital」→「生命の」「capacity」→「容量」で、直訳すると生命の容量となります。昔は、呼吸量が大きいほど生命力が強いといった概念があり、このような英語になったそうです。
残気量(RV:residual bolume)
残気量は、最大限まで息を吐ききた時に残っている肺内の空気の量です。最大限まで息を吐いても、肺はペッチャンコにはならずある程度の空気が残ります。この残った空気の量を残気量といいます。
英語では、residual bolume(リザイダル ボリューム)といいます。「residual」→「残りの」、「bolume」→「量」で、直訳すると残りの量となります。
先ほどもいいましたが、スパイロメトリーでは、残気量を測定することができません。残気量を測定するには、「ガス希釈法」または、「体プレチスモグラフ方」を用います。これらについては、また別の項で紹介します。
最大吸気量(IC:inspiratory capacity)
最大吸気量は、予備吸気量と1回換気量の和になります。具体的には、安静呼気位(安静時の呼吸後)から、おもいっきり空気を吸ったときの、吸える量です。
英語では、inspiratory capacity(インスパイラトリー キャパシティ)といいます。それぞれの単語の意味は、「inspiratory」→「吸気の」「capacity」→「容量」となります。
機能的残気量(FRC:functional residual capacity)
機能的残気量とは、安静呼気位における肺内の空気の残量をいいます。機能的残気量は、残気量+予備呼気量となるためスパイロメトリーでは測定することができません。
英語では、functional residual capacity(ファンクショナル リザイダル キャパシティ)といいます。「functional」→「」「residual」→「残りの」「capacity」→「容量」
予備吸気量(IRV:inspiratory reserve volume)
予備吸気量とは、安静時吸気位からさらに息を吸い込んだときに吸い込める空気の量です。
英語では、inspiratory reserve volume(インスパイラトリー リザーブ ボリューム)といいます。「inspiratoriy」→「吸気の」「reserve」→「予備」「volume」→「量」
一回換気量(TV or VT:tidal volume)
一回換気量は、安静呼吸時に吸入または呼出される空気の量です。英語では、tidal volume(タイダル ボリューム)といいます。tidal→「潮の」「volume」→「量」で、直訳すると潮の量と、少し変な意味になります。潮というか、海での波をイメージするとよいです。呼吸は、海の波のように繰り返されることからこのような英単語が利用されたようです。
予備呼気量(ERV:expiratory reserve volume)
予備吸気量とは、安静時呼気位からさらに息を吐き出したときに吐き出せる空気の量です。英語では、expiratory reserve volumeといいます。「expiratory」→「呼気の」「reserve」→「予備」「volume」→「量」とそのまんまですね。
まとめ
たくさん紹介しましたが、理解できたでしょうか?呼吸療法認定士の試験ではこれらの略語が問題に出題されます。略語を覚えるのは、大変ですがこのサイトが役に立てば幸いです。
分かりにくいところや疑問がありましたら、気軽に投稿より質問してください。
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