人工呼吸器の初期設定値について

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人工呼吸器の初期設定

人工呼吸器装着後の、各種の設定値は患者の疾病や年齢によりことなりますが、一般的な初期設定値が定められています。この基本的な値をもとに各患者にあった喚起状態になるように、微調整していきます。

それでは、さっそくですが呼吸療法認定士講習会テキストに搭載されていた、人工呼吸器の初期設定についての一覧を紹介します。

人工呼吸器の初期設定
喚起様式 自発呼吸なし→調節喚起
自発呼吸あり→SIMV,PSV,CPAP
1回換気量 成人→8~10ml/kg
小児→12~15ml/kg
呼吸回数 成人で約15回/分
吸入酸素濃度 60~100%
I:E比 1:2
EIP 1呼吸サイクルの10%

(攻略2015呼吸療法認定士確かめドリルより引用)

それぞれの項目について、もう少し詳しく紹介していきますね。

喚起様式

人工呼吸器を装着前に、最初に決める項目が「喚起モード」です。ここでは自発呼吸のない患者には、調節喚起(PCV,VCV)などの強制換気を、逆に自発呼吸が残っている患者に対しては、補助喚起(PSV,CPAP)などの患者の呼吸に同期して呼吸をサポートする喚起モードを選択します。

喚起モードを選択したら、換気量,呼吸回数,など以下の項目を設定していきます。

1回換気量

1回換気量は、成人と小児で異なります。また、体重により1回換気量の量が変わります。

例えば、成人の1回換気量は 8~10ml/㎏と記載されています。これは、体重1kgに対して8~10mlの1回換気量を設定するという意味です。
体重50kgの成人の場合では、 50kg×8 または、 50kg×10 と計算して、一回換気量の目安は、400~500mlとなります。

ただ、注意しなければならないことの一つに、気道内圧があります。肺機能の悪化した患者(コンプライアンスの低下した肺)では、容易に気道内圧が上昇します。気道内圧が高くなりすぎると、肺損傷(VILI,VALI)を起こします。風船を膨らませすぎると破裂するのと同じです。

したがって、人工呼吸中の吸気プラトー圧(吸気時の呼吸器内の圧力)が30cmH2O以下になるように設定するように1回換気量を緒性する必要があります。

呼吸回数

成人の呼吸回数は、自発呼吸時と同様に15回/分程度に設定します。そして、PaCO(動脈血二酸化炭素分圧)の値を見て、喚起回数を、15回から増やしたり、下げたりします。

というのは、動脈血中に含まれる二酸化炭素の量は、換気量に影響されます。呼吸をすることで、口から二酸化炭素を排出しているので当たり前のことですね。喚起回数を上げると、換気量が上がるため、たくさん二酸化炭素が排出されて、PaCO2の値は下がります。逆に呼吸回数を減らすと二酸化炭素の排出量が減るため、PaCO2の値は上昇します。

一般的には、PaCO2が35~45mmHgになるように、喚起回数を調整します。ただ、PaCO2がかなり高く上がっていた患者を急激にPaCO2を下げると循環虚脱および痙攣を発症する恐れがあります。

理由は、PaCO2の値が上昇すると副腎髄質からカテコラミンという神経伝達物質がたくさん分泌されます。そして、人工呼吸器を装着して急激にPaCO2を低下させると、カテコラミンの分泌も急激に低下します。カテコラミンが急激に減少することにより、痙攣が起こります。

その為、PaCO2が高度に上昇した患者の場合は、徐々に喚起回数を増やして、ゆっくりPaCO2を下げる必要があります。

吸入酸素濃度

吸入酸素濃度を決める場合に、やみくもに高濃度の酸素を投与するべきではありません。高濃度の酸素は、酸素中毒を引き起こしたり、新生児においては未熟児網膜症を発症させる恐れがあります。

したがって、酸素濃度をできるだけ低い値で、PaO2が100mmHg前後に調整できるように設定します。PaO2は、パルスオキシメータによってもおおよその値が把握できます。SpO2では、97~98%になるように管理します。

I:E比

I:E比(アイイーヒ)とは、吸気時間のと呼気時間の比率を表したものです。『I』は、inhalation(吸入)もしくは、inspiratory(吸気の)の頭文字、『E』は、exhalation(吐き出すこと)もしくはexpiratoty(呼気)の頭文字をとっています。

自発呼吸では、I:E比は1:1.2~1.5程度ですが、人工呼吸化では、1:2と、呼気を長めに取ります。

肺の機能が悪化して、肺が膨らみにくい、固い肺の患者では、吸気時間を長めにして、I:E比を1:1にする場合もあります。逆に閉塞性喚起障害(COPD,喘息)など息を吐き出しにくい疾患では、呼気時間をさらに長くしてI:E比を1:3などと設定します。

EIP(休止時間)

EIPは、end inspiratory pauseの略称で、『吸気終末休止』という意味です。これは、人工呼吸器で吸気が終わったら、すぐに呼気に移行するのではなく、吸気が終わって、少し停止します。それにより肺胞が膨らんでいる時間が長くなり、肺内に酸素をたくさん取り込めるというメリットがあります。

EIPの設定は、吸気と呼気の1サイクルの時間中の何%の時間を設定するかを決めます。一般的には、10%程度に設定します。

EIP(攻略2015呼吸療法認知士確かめドリルより)

上記で、人工呼吸器の初期設定についての紹介を終わります。わかりずらいところや疑問点がありましたら気軽に質問してください。