呼吸リハビリテーション総論④(個別プログラムの作成と実施)

呼吸リハビリテーション開始時には、患者の状態を評価して、それに合わせたプログラムを作成します。

プログラムは、以下の5つで成り立っています。

  1. 運動療法
  2. コンディショニング(準備運動)
  3. ADLトレーニング(日常生活の自立)
  4. 教育・サポート
  5. プログラムの再評価

それぞれの概要を順番に説明します。

運動療法

呼吸リハの中心は、『運動療法』です。軽症者は、全身運動・筋力トレーニングの比重が高く、重症者は、コンディショニング・ADL(日常生活動作)の比重を多く設定します。

下肢トレーニングは、運動耐容能や息切れに対して最も効果が高いと認められています。

上肢トレーニングも呼吸リハでは有効性の高いと認められています。上肢の動作は、日常生活でもよく使うので、ADL能力の向上に効果的です。

コンディショニング

コンディショニングは、運動前の準備体操のようなものです。

  • 呼吸理学療法の多くの用手的な手技(詳細は各論にて解説)
  • 運動前の「短時間作用型気管支拡張薬の吸入」
  • 排痰など

ADLトレーニング

基本的なADL(日常生活動作)の自立を目指すトレーニングを行います。患者の状態に合わせて、段階的にトレーニングを行います。

  1. ベッド上の坐位保持トレーニング
  2. 端坐位トレーニング
    (椅子やベッドなどの端に、足を下ろして座った姿勢)
  3. 立位動作トレーニング
  4. 歩行トレーニング
  5. 階段昇降トレーニング

教育・サポート

患者のモチベーションの維持には、「病気の理解」「呼吸リハビリテーションの理解」が必要です。

教育により、患者の自己管理(セルフマネージメント)能力を向上させることで、急性増悪の減少、QOLの向上が期待できます。

再評価と維持

個別プログラムを実施したら、定期的に評価を行います。

定期的な評価は、患者・医療従事者のモチベーションを高める効果があります。

まとめ

呼吸リハビリテーションの個別プログラムは、以下の5つの項目で成り立っています。

  • 運動療法
    下肢、上肢トレーニング
  • コンディショニング
    運動前の準備体操
  • ADLトレーニング
    日常生活動作の自立を目指すトレーニング
  • 教育
    病気と呼吸リハの理解を高めてモチベーションを維持する
  • 再評価
    個別プログラムの評価とフィードバック

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