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始めに
開胸・開腹後の合併症の種類は、4つに分類されると前回紹介しました。今回は、その中の喚起障害についてもう少し詳しく説明します。
喚起障害というのは、呼吸量が少なくなることにより充分な酸素が体に供給できなくなることです。

喚起障害の原因
術後の喚起障害の原因は、「①呼吸中枢の抑制 ②呼吸筋の運動抑制 ③上部気道の狭窄・閉塞」の3つに分類されます。
1.呼吸中枢の抑制
人間の呼吸は、無意識に行われています。これらのコントロールは、脳の呼吸中枢で行われています。術後は、麻酔薬、鎮静薬、鎮痛薬などが投与されます。これらの薬の中には呼吸中枢を抑制するものもあります。
〔関連記事:呼吸中枢による呼吸の調整方法〕
2.呼吸筋の運動抑制
・術後疼痛
・胸帯・腹帯のしめつけよる胸郭、腹壁運動の制限
・手術中の横隔神経麻痺の切断、火傷、過伸展などによる損傷
3.上部気道の狭窄・閉塞
上部気道とは、咽喉頭から気管までをいいます。ここが閉塞すると、ガス交換が完全にできなくなるため急激な呼吸困難をきたします。
上部気道狭窄・閉塞の原因は、「気道内分泌物貯留、舌根沈下、咽頭痙攣、声門下浮腫」などがあり、気道内分泌物貯留が最も多い原因です。どれも突発的に発生することがあり注意が必要です。
<喚起障害の病態・治療>
病態
喚起障害では、ガス交換量が低下するので、低酸素血症になるのと、高二酸化炭素血症を引き起こすのが特徴です。
診断・処置
- 心停止であれば直ちに気管挿管をして、心肺蘇生を行います。
- 心停止でなければ、気道確保と気道内吸引を行う。それでも換気が改善されなければ、人工呼吸を行い原因究明を行います。
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