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カプノグラフィとは
カプノグラフィは、呼気におけるPETCO2(呼気終末二酸化炭素分圧)を測定する装置です。PETCO2は、PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)とほぼ同様の値になることが知られています。PaCO2の値は、喚起状態の目安としてりようできます。したがって、カプノメータによるPETCO2のモニタリングは、人工呼吸器使用中患者などに良く使用されています。カプノメータは、二酸化炭素の赤外線の吸収量を測定してPETCO2を導き出しています。
カプノグラフィの波形の基本
正常な、カプノグラフィの波形は以下のような形となります。この波形の右上の一番高い部位が、呼気終末(呼気の最後)であり、PETCO2の値となります。
PETCO2からわかること
PaCO2やPETCO2の正常値は、35~45mmHg程度です。これらの値は、基本的に換気量に依存します。換気量が多いと、二酸化炭素がたくさん排出されPaCO2は低下します。逆に換気量が少ないと、血液内にCO2が貯まるため、PaCO2が上昇するわけです。
PETCO2に影響を与えるのは、呼吸が主な原因ですが、呼吸以外の原因でも変化します。以下のその他の影響を与える項目を紹介します。
原因 | ETCO2の上昇 | ETCO2の低下 |
呼吸 | ・肺胞換気量の低下 低喚起 閉塞性肺疾患 |
・無呼吸 ・肺胞換気量の増加 過換気 |
循環 | ・肺血流量の増加 心拍出漁の増加 敗血症 |
・肺血流量の減少 心停止 肺塞栓 |
代謝 | ・CO2産生の増加 発熱 疼痛 |
・CO2産生の低下 低体温 鎮痛 |
人工呼吸器 | ・呼気弁の以上による再呼吸 1回換気量の不足 |
・呼気回路のリーク ・過換気 ・気管内チューブ閉塞 |
その他 | ・CO2の供給 | ・食道挿管 |
(萓島道得 呼気炭酸ガス濃度計(カプノメータ)EMERGENCY CARE2005より引用)
カプノグラフィの種類
カプノグラフィは、サンプル方式の違いからメインストリーム方式とサイドストリーム方式に分類されます。
メインストリーム
メインストリーム方式とは、CO2センサを患者のすぐそばに設置する形式の装置です。CO2センサーからの情報を、モニター画面に表示します。下図のように、センサ自体を呼吸器の回路に装着します。人工呼吸器に装着する場合はメインストリーム方式が使用されることが多い。
サイドストリーム
サイドストリーム方式は、患者の呼気を装置本体まで吸引して、離れた場所にある装置に内蔵されているCO2センサより、PETCO2を測定する方式です。麻酔ガス濃度も測定できるため、OP室などで使用される。使用されます。
(日本光電HPより)
それぞれの長所と短所の表を以下にまとめました。
サイドストリーム | メインストリーム | |
長所 | ・センサを大型化できるため、CO2 以外の麻酔ガスなども同時測定できる ・回路にセンサを取り付けない為、回路に負担がかからない ・死腔が少ない |
・呼気とセンサの距離が近いため反応が良い ・長時間使用しても閉塞することがない ・早い呼吸、低流量の呼吸でも正確に測定できる |
短所 | ・サンプリングチューブが細いため、結露などで閉塞することがある ・反応が少し遅い ・高価なものが多い ・浅く、速い呼吸では正確に測定できないことがある |
・センサーの重みが呼吸回路にそのままかかるので、回路の負荷になる ・死腔量が比較的大きい |
(参考文献)
http://www.nihonkohden.co.jp/iryo/techinfo/co2sensor/stream.html
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