酸素療法④(適応基準)

酸素療法の有効性と適応基準について学んでいきます。

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組織の低酸素

PaO2が正常でも、組織が低酸素状態になっていることがあります。なぜなら

組織への酸素運搬量=『動脈血酸素含量(CaO2)×心拍出量』

であらわせるからです。
ちなみに酸素含有量を詳しく求めると以下の式になります。

酸素含有量の式画像

酸素含有量の式

血液中の酸素は、ほとんどヘモグロビンに結合しています。したがって低酸素血症を判断するにはPaO2よりも酸素飽和度を確認した方が確実です。

酸素含有量において、溶存酸素(PaO2)の影響はごくわずかですね。

上の式により以下のことが分かります。

<fieldset><legend>組織低酸素の重要因子</legend>

  • ヘモグロビンの減少
    (貧血・CO中毒)
  • 酸素飽和度の低下
  • 心拍出量の減少
  • 酸素消費量の増大

</fieldset>

低酸素血症には酸素療法を適応します。それにより以下の効果が認められています。

慢性閉塞疾患の予後因子
  • 肺高血圧症の改善
  • 二次性多血症の改善
  • 運動能力の向上
  • 精神神経症状の改善
  • 死亡率の低下
  • 入院期間および入院回数の減少
  • 家庭復帰

〔在宅酸素療法の効果 3学会合同呼吸療法認定士 講習会テキストP239表10-4より引用〕</fieldset>

在宅酸素療法

在宅酸素療法(HOT)の有効性

次は、在宅酸素療法(HOT)について学んでいきます。在宅で酸素療法を行う方法ですね。

慢性閉塞性肺疾患の予後規定因子は以下のものがあります。

予後因子
  • 睡眠時肺低換気
  • 睡眠時無呼吸
  • 低酸素症による肺血管攣縮
  • 基礎疾患による肺血管床の減少
  • 二次性赤血球増多⇒肺高血圧症⇒肺性心

これらに対して、酸素吸入を実施することで死亡率が低下します。

また、HOTを実施するには以下の条件を満たす必要があります。

酸素療法の適応基準
  1. 吸入療法以外に有効な治療(抗生物質・気管支拡張薬・利尿薬など)が行われており、1ヶ月以上の観察期間を経て安定期にあり以下の基準を満たしていること。
    ・安静、呼吸吸気下でPaO2が55㎜Hgに満たないもの
    ・上記条件でPaO2が55~60㎜Hgでも、臨床上あきらかな肺性心、肺高血圧症(平均肺動脈圧20㎜Hg以上)
    ・睡眠中あるいは運動時に長時間にわたり著しい低酸素血症(PaO255mmHg)未満あるいはこれに相当する低酸素血症)となるもの
  2. 肺高血圧症
  3. 慢性心不全
    NYHAⅢ以上で、睡眠時チェーンストーク呼吸がみられ、ポリソノグラフィで無呼吸指数が20以上であること。

まとめ

低酸素血症の原因、HOTの有効性、導入基準について学びました。囲いの部分は、どれも試験に頻出の重要事項なのでしっかり覚えてください。


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