酸素療法①(低酸素血症とは)

酸素の使われ方

外気から肺に酸素を取り入れることを外呼吸といいます。

生体に取り入れられた酸素は、心臓により運ばれて各組織に供給されます。

組織に供給された酸素は、エネルギー代謝により使われ、水と二酸化炭素に分解されます。(内呼吸

酸素療法は、至適な量の酸素を組織に供給する手段です。

呼吸不全・低酸素血症の病態生理

酸素含有量

★略語の説明★
  • VO2・・組織の酸素需要
  • DO2・・組織への酸素運搬量
  • CaO2(酸素含有量)・・1dL中に含まれる酸素の量(ml)
  • SaO2(酸素飽和度)・・酸素ヘモグロビン結合率
  • CO(cardiac output)・・心拍出量

正常人では、VO2<DO2の状態になっています。これは、組織に十分な酸素が供給されていることを意味します。

呼吸不全の多くは、DO2の低下が引き起こされます。DO2は、『CaO2(動脈血酸素含量)とCO(心拍出量)に依存』します。

DO2の求める式

★DO2=CaO×CO

CO低下によるDO減少は心不全です。

また、CaO2(1dL中に含まれる酸素の量)以下の計算で求められます。

重要★CaO2(酸素含有量)の求め方

酸素含有量の式画像

酸素含有量の式

〔式の説明〕

  • 1.34×Hb(g/dL)ヘモグロビンに結合できる酸素を表します。
    1gのヘモグロビンに1.34mLの酸素が結合できます。
    (SaO2/100)は、ヘモグロビンの酸素結合率(%)を表します。
  • 0.003×PaO2(mL/dL)は溶存酸素を表します。
    (血液中に溶けている酸素でかなり少ないです。)
  • 〔酸素含有量=結合酸素+溶存酸素〕となり、CaO2結合酸素に依存します。
  • 少し複雑ですので、理解できない場合は下の式だけ覚えておいてください。

参照:酸素含有量について詳しく

上記の式よりCaO2(酸素含有量)の低下は、SaO2とPaO2の低下によることが分かります。

酸素解離曲線

SaO2とPaO2の関係は、酸素ヘモグロビン解離曲線と呼ばれ『S字状』になっています。

PaO2が60㎜Hg以下ではSaO2が急激に下がり、結果的にCaO2も著減し、組織は低酸素になります。

 

酸素解離曲線の画像

酸素解離曲線

低酸素の影響を受けやすいのは、『脳・心臓』です。低酸素血症の進行は、チアノーゼ、組織細胞障害、死に至ります。

ちなみにチアノーゼは、還元ヘモグロビンが5g/dL以上で出現、爪・唇に症状が現れます。

酸素療法の適応

PaO230mmHg以下は生命維持が不可能です。酸素療法の相対的適応は、PaO2≦60㎜Hgです。慢性呼吸不全での在宅酸素療法の適応はPaO2≦55㎜Hgです。

まとめ

  • 酸素療法は、至適な量の酸素を組織に供給する方法
  • CaO2=1.34×Hb(g/dL)×(SaO2/100)+0.003×PaO2〔mL/dL〕
  • PaO2≦60㎜Hgで呼吸不全酸素療法の適応

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