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酸素の使われ方
外気から肺に酸素を取り入れることを外呼吸といいます。
生体に取り入れられた酸素は、心臓により運ばれて各組織に供給されます。
組織に供給された酸素は、エネルギー代謝により使われ、水と二酸化炭素に分解されます。(内呼吸)
酸素療法は、『至適な量の酸素を組織に供給』する手段です。
呼吸不全・低酸素血症の病態生理
酸素含有量
正常人では、VO2<DO2の状態になっています。これは、組織に十分な酸素が供給されていることを意味します。
呼吸不全の多くは、DO2の低下が引き起こされます。DO2は、『CaO2(動脈血酸素含量)とCO(心拍出量)に依存』します。
DO2の求める式
★DO2=CaO2×CO
CO低下によるDO2減少は心不全です。
★DO2=CaO2×CO
また、CaO2(1dL中に含まれる酸素の量)以下の計算で求められます。
★重要★CaO2(酸素含有量)の求め方
〔式の説明〕
- 1.34×Hb(g/dL)はヘモグロビンに結合できる酸素を表します。
1gのヘモグロビンに1.34mLの酸素が結合できます。
(SaO2/100)は、ヘモグロビンの酸素結合率(%)を表します。 - 0.003×PaO2(mL/dL)は溶存酸素を表します。
(血液中に溶けている酸素でかなり少ないです。) - 〔酸素含有量=結合酸素+溶存酸素〕となり、CaO2は結合酸素に依存します。
- 少し複雑ですので、理解できない場合は下の式だけ覚えておいてください。
参照:酸素含有量について詳しく
上記の式よりCaO2(酸素含有量)の低下は、SaO2とPaO2の低下によることが分かります。
酸素解離曲線
SaO2とPaO2の関係は、酸素ヘモグロビン解離曲線と呼ばれ『S字状』になっています。
PaO2が60㎜Hg以下ではSaO2が急激に下がり、結果的にCaO2も著減し、組織は低酸素になります。
低酸素の影響を受けやすいのは、『脳・心臓』です。低酸素血症の進行は、チアノーゼ、組織細胞障害、死に至ります。
ちなみにチアノーゼは、還元ヘモグロビンが5g/dL以上で出現、爪・唇に症状が現れます。
酸素療法の適応
PaO230mmHg以下は生命維持が不可能です。酸素療法の相対的適応は、PaO2≦60㎜Hgです。慢性呼吸不全での在宅酸素療法の適応はPaO2≦55㎜Hgです。
まとめ
- 酸素療法は、至適な量の酸素を組織に供給する方法
- CaO2=1.34×Hb(g/dL)×(SaO2/100)+0.003×PaO2〔mL/dL〕
- PaO2≦60㎜Hgで呼吸不全酸素療法の適応
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