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ヘモグロビンによる酸素運搬
酸素と結合したヘモグロビンは、血液の流れに乗って全身に流れます。全身に移動しながら、酸素を放出して各細胞に酸素を供給します。

ヘモグロビンの酸素運搬
ちなみにこのPo2とSo2の関係を表したグラフを酸素解離曲線といいます。
今回は、酸素解離曲線について学んでいきます!
酸素解離曲線
酸素解離曲線の基礎知識
下の図は、Po2とSo2の関係を表した酸素解離曲線です。

酸素解離曲線
グラフの見方を説明しますね。
横の目盛りは、Po2(酸素分圧)の値を表します。
縦は、So2(酸素飽和度)の値を表します。
※メモ それぞれの説明入れる
例えば、Po2の値が100㎜Hgの時のSo2を見ていきましょう。(酸素化された直後の、動脈血がこの部分に該当します。)
- Po2の上に垂直線をグラフの線が当たるまで引きます。
- そして、水平線を引きます。

動脈血の酸素飽和度
この値が、対応するSo2になります。だいたい、98%になります。
次は、Po2が40㎜Hgの時の、So2を見ていきましょう。(末梢の血液の酸素分圧がこの部分に該当します。)

末梢血の酸素飽和度
このように、Po2とSo2は、一定の関係があります。
覚え方としては、40-50-60/70-80-90 ルールというのがあります。
- Po2=40mmHg ⇒So2=75%
- Po2=50mmHg ⇒So2=80%
- Po2=60mmHg ⇒So2=90%
パルスオキシメータの値を見て、およその酸素分圧が把握できるように覚えておきましょう。
S字型
酸素解離曲線の形は、S字型と表現されます。
最初はなだらか、酸素分圧が下がってくると一気に下降します。この形がアルファベットのS字にみえるということです。

S字型
理由は、ヘモグロビンは酸素分子が0個の状態か、4個結合した状態で安定するからです。
したがって、初めは酸素を離しにくいですが、一たび酸素の分離が始まると、一気に放出します。

勾配の変化
1つの酸素分子を放出すると、不安定になり残りの3つの酸素分子もすぐに放出します。
酸素解離曲線のシフト
Po2とSo2の関係を覚えてもらいました。しかし、生体の状況により変化します。
右にずれたり左にずれたりします。
右にずれるのを右方移動(ボーア効果)、左にずれるのを左方移動と呼びます。

酸素解離曲線の変移
酸素解離曲線の右方変位(ボーア効果)
右方変位は、どのような効果があるのでしょうか?
同じ酸素分圧の時のSaO2を比較してみてください。例えば、Po2が40㎜Hgの場所を見てみましょう。

酸素飽和度の違い
元のグラフは、So2が75mmHg程です。それに対して、右方変位したグラフではSo2が50mmHgくらいになってます。
このことから分かるのは、右方変位すると酸素飽和度が下がるということです。すなわち、ヘモグロビンが酸素を放出しやすくなるということです。

右方変位のイメージ
酸素を放出しやすくなるということは、細胞への酸素供給量が上がるというプラスの効果があります。
ちなみに、どういうときに右方変位するかというのが重要です。試験にもよく出題されます。
- PCo2の増加
- ph低下(PCo2が増えると、phが低下します。4章で学びます。)
参照:「ヘンダーソンの式」) - 体温上昇
- 2,3-ジホスホグリセリン酸の増加
(グルコース代謝で作られる物質)
激しい運動をした時などに発生する現象ですね。右方変位は、代謝の盛んな組織に対して、効率よく酸素を供給するという効果があります。
酸素解離曲線の左方変位
左方変位は、解離曲線が左側に移動することです。そうなると、同じ酸素分圧でも、酸素飽和度が高くなります。同様に、抹消の酸素飽和度を比較し見ましょう。

左方移動の説明
元のグラフは、So2が75mmHg程です。それに対して、左方変位したグラフではSo2が90mmHgくらいになってます。ほとんど酸素が分離していませんね・・・
つまり、ヘモグロビンが酸素との結合力が強くなり、酸素を放出しにくくなるということです。右方変位とは、逆の効果です。
左方移動になるのは以下の条件です。
- PCo2の低下
- ph上昇
- 体温低下
- 2,3-ジホスホグリセリン酸の低下
安静にしている組織には、酸素の供給を控えるという効果があります。
まとめ
- 酸素解離曲線は、So2(酸素飽和度)とPo2(酸素分圧)の関係を表したグラフ。横軸に、酸素分圧、縦軸に酸素飽和度を表示する。
- 組織の代謝が上がると右方変位(ボーア効果)、代謝が下がると左方変位する。
- 酸素解離曲線の変位は、酸素が必要なところに効率よく供給するために役立つ。
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