急性呼吸不全・慢性呼吸不全におけるNPPVの適応と禁忌について

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NPPVとは

NPPVとは、『non-invasive positive pressure ventilation』の略称で、非侵襲的陽圧換気喚という意味です。
NPPVでは、挿管や気管切開といった侵襲なしで、酸素マスクやフェイスマスクにより人工呼吸器から空気を送り込みます。

NPPVの利点としては、挿管や気管切開による合併症がありません。
その為、気軽に導入したり、在宅でも使用することもできます。

V60フィリップスHPより

NPPVの適応と禁忌

NPPVは、慢性期の呼吸不全の急性増悪時や、急性期の呼吸不全時に使用されます。

注意しなければならないのは、NPPVは、主に自発呼吸のサポートを行なう人工呼吸器なので、自発呼吸がなければ使用できません。

また、マスクを装着するので、意識がしっかりしていないと、不穏行動によりマスクをのけてしまう危険性があります。

日本呼吸器学会NPPVガイドラインにより,NPPVの適応が推奨されている疾患は以下になります。

急性期の呼吸不全
COPDの急性増悪
心原性肺水腫
胸郭損傷
人工呼吸器からの離脱時
免疫不全に伴う急性呼吸不全
重症肺炎
慢性期の呼吸不全
拘束性胸郭疾患(結核後遺症,脊椎後側弯症など)
慢性心不全におけるチェーン・ストークス呼吸(ASV)
肥満低喚起症候群
DMDやALSなどの神経筋疾患

上記がガイドラインで推奨レベルがAまたはBと評価されている疾患です。
ちなみに、慢性期のCOPDに対する適応は、C1という評価でした。

推奨度

A:行うように強く勧められる
B:行うように勧められる
C1:科学的根拠はないが、行うことを考慮してもよい
C2:明確な推奨ができない
D:行わないように推奨する

 

上記がNPPVの適応が推奨される疾患であり、さらに以下の適応条件を満たせば導入できます。禁忌事項も多いので頭に入れておく必要があります。

適応条件

意識清明で患者の協力が得られる。
循環動態が安定している。
誤嚥の危険性がない。
自力で喀痰排出ができる。
(マスクをしているのでスタッフが吸引できない為。挿管であれば吸引が容易)

禁忌・適応注意

不穏がある。
気道確保が困難
(挿管した方がいい)
自発呼吸がない
不穏状態
(マスクを外してします)
最近の腹部、食道手術をした場合
(分泌物が増えるから)
顔面に外傷や火傷
(マスクが装着できない)
多臓器不全
(多臓器不全では、循環動態が悪くなる)
心筋梗塞、不安定狭心症がある場合
(NPPVに限らず、人工呼吸器を装着すると心臓が圧迫され循環胴体が悪くなる)
咳反射がない
ドレナージされていない気胸がある場合
大量の気道分泌物がある場合
(マスク装着中は吸引できないので)
活動性の消化管出血・閉塞
(嘔吐の可能性)


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