肺の働きをコントロールする神経は、「迷走神経、交感神経、横隔神経、肋間神経、反回神経」があります。それぞれの神経がどのような働きをしているかを順番に学んでいきましょう。
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迷走神経・交感神経
肺の主な神経
肺の神経は、主に「迷走神経」と「交感神経」のそれぞれより枝分かれして発生します。それぞれの神経は、肺門で神経叢を作り、そこから「気管支、血管、肺組織」などに遠心性神経として分布します。

末端に分布する肺の神経線維が刺激を受けると、迷走神経または、交感神経を通して中枢に伝達され、肺の各部分に反応が起こります。
ちなみに、迷走神経が刺激されると、平滑筋収縮により気管支が狭窄します。反対に交感神経が刺激されると平滑筋が弛緩して気管支が拡張します。
肺の反射
「気管支、血管、肺組織」に分布した、神経線維(内臓知覚神経)は反射にも関与します。
反射は、主に迷走神経を介して中枢に伝わります。「肺迷走神経反射、咳嗽反射、迷走神経反射」の3つの反射があります。
- 肺迷走反射・・・呼吸のリズムを調整する反射です。肺胞が膨らむのを感知して、吸気を止めて呼気に移行します。
- 咳嗽反射・・・気管や気管支に対する刺激で咳が出る反射のこと。日常では、誤嚥などでむせたりするのは咳嗽反射です。
- 迷走神経反射・・・気管・肺の刺激により急激な血圧低下や心停止などを起こす反射。
横隔神経・肋間神経
- 横隔神経は、横隔膜をコントロールする神経です。
- 肋間神経は、肋間筋をコントロールする神経です。
ちなみに横隔神経は、3~5頚髄から数本出ています。したがって、3~5頚髄から上(1~5頚髄)を損傷すると横隔膜呼吸に障害が発生します。
もし試験などで、「6頚髄を損傷すると横隔膜運動が障害される。」という選択肢が出題された場合は、間違いです。横隔神経は3~5頚髄から出ているので、それ以下の頚髄を損傷しても横隔膜運動は障害されません。横隔神経がどこから出ているかはしっかりと覚えておきましょう。
反回神経
反回神経は、声帯の運動をコントロールする神経です。左右で2本あります。
反回神経が損傷すると、声帯運動障害により、嗄声(させい:声がかすれること)や誤嚥の原因となります。食道がんや甲状腺がんの外科手術の合併症として比較的頻度が多いです。
肺の神経まとめ
肺に関わる主な神経について学びました。最後に、今回学んだ5つの神経とそれらがコントロールする場所を再度確認しておきましょう。
- 迷走神経・・・平滑筋収縮
- 交感神経・・・平滑筋弛緩
- 横隔神経・・・横隔膜を支配
- 肋間神経・・・肋間筋を支配
- 反回神経・・・声帯運動を支配
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