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気管支拡張薬の種類
日本で気管支拡張薬として承認されて使用されている薬は、『β2刺激薬,テオフィリン,抗コリン剤』の3つに分類されます。今回は、その中でもテオフィリンと抗コリン剤について紹介します。
テオフィリン
テオフィリンとは
テオフィリンは、気管支拡張薬として、重症の気管支喘息やCOPD、慢性気管支炎の治療に使用されます。作用機序については、まだはっきり解明されていないところも多くあります。
また、テオフィリンは、気管支拡張以外にも、抗炎症作用、横隔膜の収縮力増強、中枢神経興奮作用、強心利尿作用があります。
特に、テオフィリンと吸入ステロイドを併用することにより気道炎症について効果があるということに期待されています。
テオフィリンの注意点・副作用
テオフィリンを使用する場合の注意点としては、薬剤の血中濃度における、安全値領域が狭いことです。テオフィリンの効果が現れるには、血中濃度を5~15μgに保つ必要があります。しかし、テオフィリンの血中濃度が20μgを越えるあたりから、副作用が現れやすくなり、悪心・嘔吐・動悸・不整脈・痙攣・意識障害などの神経症状が現れます。薬の効果が現れる薬剤濃度と副作用が現れる薬の濃度が近いことを、安全値領域が狭いといいます。過去にテオフィリンの過剰投与により、意識障害を起こし脳障害を残した症例もあります。
その為、アメリカでは、喘息治療の初期段階ではテオフィリンを使用することが推奨されていません。
テオフィリン使用時は、なるべく少な目の投与量から開始して、増量する場合は血中濃度を測定しながら投与量を検討する必要があります。
テオフィリンの商品名
内服薬は、テオフィリン濃度が血中で急激に上昇するのを防ぐために、徐放剤が使用されます。徐放剤とは、錠剤が体内で少しずつ分解され薬剤の効果が出るように、工夫された製剤です。
テオフィリンの内服徐放剤としては
テオドールR
テオロングR
ユニフィルR
スロービッドR
などが用いられています。
静注薬もあり、アミノフィリン(ネオフィリンR)は急性の気管攣縮に対して使用されます。
抗コリン剤
抗コリン剤とは
抗コリン剤は、気管支を収縮させる神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を阻害することにより、気管支を拡張させます。
薬剤の作用時間により、短時間作用型抗コリン剤(SAMA)と長時間作用型抗コリン剤(LAMA)に分類されます。
特に、LAMAは、作用時間が長いことから、COPD治療の第一選択薬として使用されます。喘息については、長時間作用型β2刺激薬(LABA)の補助薬として使用されることがあります。
抗コリン剤の注意点・副作用
抗コリン剤の副作用としては、口腔内の乾燥、味覚障害、便秘、胃の不快感などが主になります。まれに、気道収縮を惹起することがあるので、吸入後は患者をよく観察することが大切です。
禁忌の疾患は、前立腺肥大の尿閉、緑内障、アトロピンに対する過敏があります。抗コリン剤は、これらの疾患を悪化させる恐れがあります。
抗コリン剤の商品名
SAMA(短時間作用型抗コリン剤)
臭化イプラトロピウム(商品名:アトロベント)
臭化オキシトロピウム(商品名:テルシガン)
LAMA(長時間作用型抗コリン剤)
臭化チオトロピウム(商品名:スピリーバ)
臭化グリコピロニウム(商品名:シーブリ)
(参考文献)
http://www.med.u-toyama.ac.jp/pedi/group/OLDNEWS/NEWS050.html
第20回3学会呼吸療法認定士認定講習会テキスト
攻略2015呼吸療法認定士たしかめドリル
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