人工呼吸中の鎮静方法

人工呼吸中の鎮静方法について学んでいきます。

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鎮静の目的

人工呼吸中は、挿管による不快感、吸引によるストレスなどを抑えるため、鎮静・鎮痛薬が投与されます。

鎮静の目的

<安全性を高める>
・自己抜管防止
・ファイティングによる圧損傷を予防する

<不安抑制>
・睡眠の促進
・チューブの不快感
・吸引の苦痛を減らす

<呼吸管理をしやすくする>
・同調性を高める
・呼吸ドライブを抑える
・酸素・基礎代謝の消費量を減少

「酸素消費・基礎代謝の減少」については、活動して無駄なエネルギー消費を減らそうという目的です。その分を重要臓器に酸素・エネルギーを供給してやるということです。

「呼吸器との同調性をよくする」については、人工呼吸器は空気を強制的に送り込むので意識が強いと強い不快感を感じてしまいます。また、人工呼吸器の吸気と患者さんの吸気のタイミングが合わないとファイティングといって肺に損傷を与えてしまう恐れがあります。

「呼吸ドライブ」というのは、やや難しい言葉なのですが『呼吸運動を引き起こす呼吸原動力の総和』というものです。ようは、呼吸に使うエネルギーと理解しておいたので大丈夫です。鎮静の目的は、試験にも時々出題されるので理解しておきましょう。

鎮静・鎮痛薬の種類

人工呼吸中に使用される鎮静・鎮痛薬はかなりの種類があります。試験では、それぞれの薬の特徴や、薬のタイプを問う問題が出題されます。

薬の特徴は読めばわかるので、標準テキストもしくは、「当サイトのクイズ」を参考にしてください。

ここでは、それぞれの薬がどのタイプなのかをざっくりと把握してください。

ちなみに鎮静・鎮痛薬の種類は、「静脈麻酔薬、マイナートランキライザー、メジャートランキライザー、吸入麻酔薬、デクスメデトミジン、麻薬性鎮痛薬、非麻薬性鎮痛薬、硬膜外ブロック」の8種類があります。

どの薬がどのタイプなのかというのをざっくり覚えましょう。

静脈麻酔薬

静脈から投与する麻酔薬です。静注や静脈内持続投与で使われます。

挿管や人工呼吸中の鎮静・鎮痛に使用されます。

プロポフォールは、作用時間が短く、調節性がいいのでよく使われます。

(プロポフォール、ケタミン、チオペンタールなど)

マイナートランキライザー

マイナートランキライザーとは、抗精神病作用のある薬(抗不安薬など)です。

(ミダゾラム、ジアゼパム、フルニトラゼパムなど)

メジャートランキライザー

メジャートランキライザーとは、抗精神病薬です。神経遮断作用がありマイナートランキライザーよりもかなり強い作用があります。

(ドロペリドール、ハロペリドール、クロルプロマジン)

吸入麻酔薬

吸入麻酔薬は、液体の薬を専用の機械で気化させて吸入する方法です。〇〇ランというのは、吸入麻酔と覚えておきましょう。
(イソフルラン、セボフルラン)

デクスメデトミジン

α2アドレナリン受容体薬で、鎮静・鎮痛効果がある。静脈持続投与で使用する。

麻薬性鎮痛薬

主に、オピオイドという受容体を刺激して鎮静・疼痛作用を発現します。

(モルヒネ、フェンタニル)

非麻薬性鎮痛薬

麻薬性鎮痛薬との違いは、ある一定量以上投与量を増やしても鎮痛効果が上がらなく天井があるものだそうです。
(ペンタゾシン、ブプレノルフィン)

硬膜外ブロック

他の鎮静・鎮痛薬と併用して使用されることがある。麻薬性鎮静薬などと比べて意識消失や呼吸抑制が起こりにくいのが特徴。

鎮静レベルの調整

人工呼吸中は、鎮静・鎮痛薬を投与して意識レベルを下げます。しかし、状況によって意識レベルを上げたほうが良い場合もあります。

<鎮静を弱める場合>

  • 家族の面会
  • 呼吸理学療法実施時
  • 意識レベルの確認
  • ウィーニングの判定時

1日に1回程度は、意識レベルの確認・ウィーニングの判定のために鎮静を弱めることが望ましいとされています。


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