吸入器②(エアゾル発生装置の種類と特徴)

吸入療法とは

吸入療法とは、吸入器を使用して薬剤を細かな粒にして、患者さんに吸引してもらうことにより、薬剤を直接的に気管内に投与する治療法です。

少量の薬の量で、気道や気管を選択的に治療できるので副作用が少ないです。

吸入器(エアゾル発生装置)の種類

薬剤を噴霧させる吸入器は以下、さまざまな種類があります。

今回は、以下の5つの吸入器(エアゾル発生装置)の特徴について紹介します。

ジェットネブライザー
超音波ネブライザー
メッシュ式ネブライザー
定量噴霧式吸入器(MDI:metered dose inhaler)
ドライパウダー式吸入器(DPI:dry powder inhaler)

それでは、さっさく紹介します。

ジェットネブライザーの特徴

ジェットネブライザーとは、ベルヌーイの原理を利用してエアゾルを発生させる装置です。院内でも最もよく使われる装置です。電源が必要で、サイズがやや大きいので携帯性はよくありません。

薬剤に対して、加圧したジェット気流を吹き付けることによりエアゾルが発生します。イメージとしては、霧吹きを想像してください。

電源を入れると、自動的にエアゾルが発生します。

エアゾルの粒子サイズは1~5μmとばらつきがあり、肺内沈着率は10%程です。このサイズの粒子サイズは、気管支から肺胞まで粒子が沈着する理想的なエアゾルのサイズです。

薬剤に対する効果は、MDIやDPIに劣りますが、喘息発作などで呼吸を同調できない患者や小児に効果的です。連続的に薬剤が噴き出るので、普通に呼吸をしていただけで大丈夫です。

ジェット式ネブライザジェットネブライザーオムロンHPより

 

超音波ネブライザーの特徴

超音波ネブライザーでは、超音波による振動によりエアゾル(粒子)を発生させます。エアゾルのサイズは、1μm前後と、とても小さく、エアゾルのサイズはそろっています。

エアゾルがとても小さいため、薬剤の多くが終末細気管支・呼吸細気管支・肺胞まで到達します。それにより、肺胞でのガス交換を傷害させてしまう可能性もあります。

特に、喘息発作中の場合、急性低酸素血症気道痙縮を引き起こしてしまう危険性があります。また、超音波による振動により、薬剤が変性(性質が変わる)恐れもあり、多くの薬剤は、超音波ネブライザの使用を推奨していません。気道内に、水分過剰になる危険性もあるようです。

病院内においても、現在では使用の頻度が他の吸引器と比較するととても少ないです。

超音波式2(http://www.justis.as-1.co.jp/jus- tis/web/SearchResultList.aspx?stype=PageNo&catalog=NK&rurl=&page=747より)

 

メッシュ式ネブライザ

ホーン振動子により、エアゾルを発生させます。エアゾルのサイズは平均5μmになります。傾けても使用できることから、寝たきり患者や、小児など座れない患者に使用されます。

メッシュ式ネブライザ2 メッシュ式ネブライザオムロンHPより

定量噴霧式吸入器(MDI:metered dose inhaler)

MDIでは、高い圧力で充填されたガス(HFA)が噴出され急激に気化するえことによりエアゾルを発生させる吸入器です。虫よけスプレーや、キンチョールなどのスプレーと同様の原理です。「懸濁タイプと液体タイプ」の2種類に分類されます。

<懸濁(けんだく)タイプ>

懸濁液とは、 固体の微粒子が液体中に分散している混合物のことです。液体と、個体の微粒子が混ざっています。殺虫剤を振るとサラサラと音がしますが、このような殺虫剤も混濁液です。

混濁液では、微粒子の個体が底に沈んでしまうため、吸入前に良く振る必要があります。平均粒子サイズは、3μm、肺内沈着率は、10~30%になります。

<液体タイプ>

エタノールを加えて、液体状態にしています。

液体タイプの場合は、使用前にふる必要がありません。混濁タイプと比較して、平均粒子径が小さく1μm程度になります。肺内沈着率は、30~40%と、懸濁タイプより高い沈着率です。

定量噴霧式吸入器

メルクマニュアル医学百科より

ドライパウダー吸入器(DPI:dry powder inhaler)

DPIは、最近主流の吸入器です。薬剤噴霧式なので呼吸を同期させなくてよい利点があります。さまざまな種類があり、肺内沈着率は、MDIと同等です。

またDPIの吸入は、速い速度で吸入する必要があります。そのため、乳幼児や重症の呼吸疾患患者には不向きです。

DPIでの吸入器具は、さまざまな種類が発売されています。代表的な器具について簡単に紹介します。

<スピンヘラー>

吸入用カプセルを入れ、内部の針でカプセルに穴をあけ、吸気によりプロペラが回転することにより薬剤が噴霧される。

スピンヘラー(第20回3学会呼吸療法認定士認定講習会テキストより引用)

<ディスクヘラー>

ディスクヘラー(第20回3学会呼吸療法認定士認定講習会テキストより引用)

<タビュヘラー>

タビュヘラー(第20回3学会呼吸療法認定士認定講習会テキストより引用)

<ディスカス>

ディスカス(第20回3学会呼吸療法認定士認定講習会テキストより引用)

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まとめ

  • 吸入療法は、薬剤を直接期間内に投与する方法です。
  • 吸入気の種類
    ジェットネブライザー
    超音波ネブライザー
    メッシュ式ネブライザー
    MDI(定量噴霧式ネブライザー)
    DPI(スピンヘラー、ディスクヘラー、ディスカス)

(参考文献・引用)
第20回3学会呼吸療法認定士認定講習会テキスト
http://www.geocities.jp/miyakenreiko/kyuunyuu.html


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