MDIやDPIでは、吸入の手技が複雑です。不適切な吸入手技の患者が半数以上ともいわれています。
今回は、吸入が複雑な「MDI、DPI、霧状噴霧吸入器」の吸入手技について紹介します。
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★MDI:metered-dose inhaler(定量噴霧式吸入器)
MDIの使い方
懸濁タイプの肺内沈着は、10~30%、溶液タイプは30~40%です。残りは、口腔内に残るので、吸入後はうがいが必要です。
オープンマウス法、クローズドマウス法があり、前者が推奨されています。
※乳幼児、高齢者、指導しても理解できない場合は、スペーサーを併用します。(後述)
MDIの吸入補助具
スペーサーを使うと、5μm以上の不要な粒子をスペーサーに付着させることができます。それにより、口腔内に不要な薬剤沈着を減らすことができます。
また、呼吸を同調させなくても上気道への不要な沈着を軽減して、肺内に薬剤が沈着することができます。高齢者や小児にスペーサーが有効です。
ただし、ただしくMDIを使った場合と、スペーサーを使った場合では、肺内の吸着率に差はありません。
DPI(ドライパウダー吸入器)
<DPIの使い方>
DPIは、粉末粒子が入った容器になっています。患者が吸い込むことにより、中の粉末が吸入されます。DPIは、器具により多少の使い方が違います。基本的な方法を紹介します。
<DPIの問題点>
- 自発呼吸がない、人工呼吸器患者には使えない。
(自力で吸入が必要なため) - 吸気流量の弱い患者は正しく吸入できない。
- 喘息発作中は使えない。
※MDIとDPIの使い方は、かなり異なる点が多いです。混合しないようにしっかり原理を理解して覚えてください。
霧状噴霧吸入器(ソフトミスト吸入器)
バネの力で薬剤を霧状にして噴霧する吸入器です。(チオトロビウム臭化物水和物製剤(長時間作用型コリン薬))で使われます。
高齢者に対する吸入介助
吸入療法は、種類によっては複雑な手技が必要であり正しく行われていない場合も多いです。そのような高齢者には吸入介助が必要です。
また、吸入後は口腔内に残った薬剤を洗浄するためにうがいが必要です。うがいが不十分だと以下の合併症を引き起こす恐れがあります。
- 副腎皮質ステロイド薬・・口腔内カンジタ症、嗄声
- β2刺激薬・・頻脈、動悸、四肢の震え
- 抗コリン薬・・閉尿、眼圧上昇
※うがいができない場合は、「食前に吸入したり、葉を磨くようにする」と良いです、
まとめ
MDIとDPIの使い方が試験によく出題されます。それぞれの器具の構造を考えれば、何となく使い方が理解できると思います。
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