在宅酸素療法(HOT)の適応基準と診療報酬

在宅酸素療法(HOT)とは

在宅酸素療法とは、慢性の呼吸疾患により、酸素吸入が必要な患者が、自宅に酸素供給装置を設置して、チューブなどで酸素吸入を行う治療法です。HOTの導入により、病院から退院して自宅で生活できたり、会社に復帰したりなどQOLを高めることができます。

 

在宅酸素療法の適応基準

在宅酸素療法の適応基準は以下になります。以下のいずれかを、満たすことで健康保険を適応して在宅酸素療法を実施することができます。

1.高度慢性呼吸不全

安静時PaO255mmHg以下、または、PaO260mmHg以下で睡眠時、運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす場合に適応される。

適応患者の判定は、動脈血採取によるPaO2の測定だけでなく、パルスオキシメータによる酸素飽和度から、PaO2を推測した値でもよいとされています。
呼吸疾患としては、COPD、肺線維症、結核後遺症などの慢性呼吸不全が対象となる。

2.肺高血圧症

肺高血圧症とは、慢性的低酸素血症により循環血液量が増大することにより、右心不全が起こる状態。悪化すると、肺性心となり生命予後が悪い。

PAH診断基準
確定 安静時平均肺動脈圧25mmHg以上
疑い 安静時平均肺動脈圧
21~24mmHg
正常 安静時平均肺動脈圧
20mmHg以下

3.慢性心不全の対象患者

NYHAⅢ度以上(日常的な身体活動以下の労作で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。)で、睡眠時チェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数または低呼吸数)が20以上が睡眠時のポリグラフィーで確認されている症例。

補足

NYHA・・・新機能分類(詳細
無呼吸・・・睡眠時に10秒以上呼吸が止まる状態
低呼吸・・・一回換気量が通常時の半分になっている状態が10秒以上続く状態。

4.チアノーゼ型先天性心疾患

ファロー四徴症、大血管転移症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、単心室症などのチアノーゼ型先天性心疾患のうち、発作的に低酸素、無酸素状態になる患者にたいして適応される。

 

在宅酸素療法の診療報酬

在宅酸素療法(H26)
項目 点/月
在宅酸素療法指導管理料 2500
酸素濃縮器加算 4000
酸素ボンベ加算(設置型) 3950
携帯型酸素ボンベ加算 880
呼吸同町式デマンドバルブ 300
設置型液化酸素装置加算 3970
携帯型液化酸素装置加算 880

 

(参考文献)
在宅酸素療法ドットコム
株式会社イワサワHP


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