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呼吸と腎臓によるpHの調整の要点と『ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式』について」

      2015/09/07



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pHとは

pHは、水素イオンの濃度を表す数値です。この値は、対数で表しているため、pHの数値が小さいほど水素イオン濃度が高く、pHの数値が大きいほど水素イオン濃度が低いことを表します。

(対数ってなんだっけ?と思っている方もいると思いますが分からなくても全然大丈夫です。)

そして、pH6以下を酸性、pH8以上をアルカリ性といいます。人間が生命活動を維持するためには、pHは、7.40±0.05の弱酸性に調整する必要があります。ちなみにpHの調節は、腎臓と肺(呼吸)により行なわれます。肺や腎臓でどのように調整しているかは、化学式で説明できますが少々めんどくさいので今回は省略させていただきます。

ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式

pHを求める計算式は『ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式』というのがあります。
ヘンダーソンHCO3-(重炭酸イオン)は、腎臓で作られます。そして、CO2(二酸化炭素)は、肺の呼吸により調整されます。
この式を見ると、pHが腎臓と肺によって調整されていることが分かります。

呼吸性アシドーシスと呼吸性アルカローシスとは

アシドーシスは酸性、アルカローシスはアルカリ性のことです。呼吸の影響で、酸性になることを呼吸性アシドーシス、アルカリ性になることを呼吸性アルカローシスといいます。

それでは、質問です。呼吸量が低下すると酸性とアルカリ性のどちらになるか分かりますか?これは、『ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式』を見れば分かります。
ヘンダーソン
この式の、PaCO2は、呼吸により調整されていることは分かりますよね?呼吸量が低下すると、CO2が排出されなくなりPaCO2が増えます。この式で、PaCO2は分母にあります。すなわち、PaCO2が増えると、pHは小さくなります。pHが6以下を酸性、pHが8以上をアルカリ性とさきほどせつめいしました。すなわち、呼吸量が低下してCO2が上昇するとpHが小さくなるので、酸性(アシドーシス)になるということです。このように、低換気によりアシドーシスになることを呼吸性アシドーシスといいます。

これとは、逆に過換気によりPaCO2が小さくなった場合は、ヘンダーソンの式でpHは、上昇します。過換気になるとアルカリ性(アルカローシス)になります。呼吸による影響でアルカローシスになることを呼吸性アルカローシスといいます。

代謝性アシドーシスと代謝性アルカローシス

pHの調整は、肺(呼吸)以外に腎臓でも行われます。肺が障害されて、肺でのpHの調整ができなくなれば、腎臓によりpHを適正に保つように調整されます。

具体的には、腎臓の尿細管上皮細胞にてpHの調整がされます。ここでは、H2CO3(炭酸)という弱酸性の物質を合成したり、分解して排出したりしてpHを調整しています。

腎臓により、pHをどのように調整されているかは、血液中のHCO3-の濃度を測定することにより判断します。

腎臓の尿細管上皮細胞でH2CO3(炭酸)という弱酸性の物質を分解するとHCO3-とH+に分かれます。分解された後、HCO3-は、血液中に戻り、H+(酸)は、おしっことして排出されます。

このように、H+を排出すると血液中にHCO3-が増えます。すなわち、HCO3-が増えると言うことは、H+(酸)を排出して、アルカリ性にするということになります。そして、血液中のHCO3-が26mEq/L以上に増えた状態を、代謝性アルカローシスといいます。

逆にHCO3-が22mEq/L以下の状態を代謝性アシドーシスといいます。

上記の説明がいまいち分かりずらいという方は、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式を見ると、HCO3-が上昇したり、下がるとpHがどうなるのかが分かります。
ヘンダーソン
ヘンダーソンの式で、HCO3-は分子にあるのでHCO3-が上がれば、pHが上がり(アルカリ性になり)逆に、HCO3-が低下するとpHが低下するのが分かります。

 

まとめ

いろいろごちゃごちゃ、説明しましたが、今回の説明では、「PaCO2が上がるとpHはどうなるのか?PaCO2が下がるとpHがどうなるのか?HCO3-が上がるとpHがどうなるのか?HCO3-が下がるとpHがどうなるのか?」これを理解できればOKです。

細かいことが分からなくてもヘンダーソンの式さえ丸覚えていれば、代入してpHがどうなるのか導くことができます。

要点

PaCO2の上昇→呼吸性アシドーシス
PaCO2の低下→呼吸性アルカローシス
HCO3-が22mEq/L以下→代謝性アシドーシス
HCO3-が26mEq/L以上→代謝性アルカローシス

 - 血液ガス