フローボリューム曲線による肺疾患の診断(応用編)

呼吸療法認定士のテキストに搭載されているフローボリューム曲線について紹介します.

早速ですが、①~⑤の波形において、どのような肺疾患が予想されるかわかるでしょうか?まったく見当がつかないという方は、前回紹介した『フローボリューム曲線の基礎』に一通り目を通して見てください。

フロー

このグラフの横軸は肺気量(肺の容量)、縦軸に流速(息を吐き出すスピード)をあらわしています。グラフの開始は、精一杯空気を吸い込んで、吐き出すところから開始しています。

それでは、①~⑤まで順番に解説していきます。

①正常な肺

①は正常な肺でのフローボリューム曲線です。
正常な肺でのフローボリューム曲線は、最大の肺気量が5L最高流速が10L/秒となります。そしてグラフはなだらかな曲線を描きます。

この曲線を元に、どう変化しているかにより病態を把握します。

②肺気腫

閉塞性肺疾患では、②のような下に凸のフローボリューム曲線が描かれます。閉塞性肺疾患の代表例は、喘息、COPD(肺気腫、慢性気管支炎)が上げられます。また、このグラフの波形から肺気腫とさらに限定できる理由は、②の波形は肺気量が異常に大きいからです。肺気腫では肺胞が破壊されて膨らみ肺の容量自体は大きくなります。

以下に肺気腫患者のCT画像を搭載します。肺内に黒い空洞がたくさんできて肺が膨張しているのがわかります。

肺気腫

http://radiographica.comより

③肺繊維症

フローボリューム波形の形状は正常であって、肺気量、最大流速が低下するのは、拘束性肺疾患の特徴です。拘束性肺疾患とは肺胞自体の傷害により、肺のコンプライアンスが低下して肺胞が膨らみにくくなる疾患です。
拘束性肺疾患の代表例としては肺繊維症が上げられます。

④末梢気道閉塞

肺気腫のグラフと同様に下に凸の形状をしたグラフになっています。下に凸の波形は閉塞性肺疾患の波形です。閉塞性肺疾患は末梢気道閉塞を起こす疾患です。閉塞性肺疾患は喘息、COPD(肺気腫+慢性気管支炎)などがあります。
これらの、閉塞性肺疾患がそれほど悪化していない初期の状態や、軽傷の場合は最大速度や肺気量は変化せず下に凸の波形になるだでです。

⑤上気道閉塞

上気道閉塞とは鼻から鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭までをいいます。上気道が何らかの原因により閉塞しかかったら台形のようなグラフになります。上気道が狭窄すると特に呼気がしにくくなり呼気速度が大きく低下するためです。


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