フロー・ボリューム曲線とは?見方と疾患の診断について

フローボリューム曲線

フロー・ボリューム曲線とは

フローボリューム曲線とは、『最大吸気位から最大努力で最大呼気位まで呼出した時の、気速と気量の関係を表したグラフです。』
縦軸に気速、横軸に気量を表します。

フローボリューム曲線
  • 気量(L)とは、呼吸により流れた空気の合計の量(吐き出したガスの量)を表します。
  • 気速(L/秒)とは1秒間に流れた空気の量、すなわち吐き出すガスの速度を表します。

 

フローボリューム曲線より、閉塞性肺障害と拘束性障害の分類や、その重症度を診断することができます。

 

フローボリューム曲線による喚起障害の判別

正常

フローボリューム曲線により疾患の判別をする前に、正常なフローボリューム曲線を確認しておきましょう。

フローボリュームの基本
①最大吸気位(せいいっぱい空気を吸った状態)
②呼気途中(気速の上昇)
③呼気途中(気速の最高値)
④呼気途中(気速の低下)
➄最大呼気位(せいいっぱい空気を吐き切った状態)

上の図が正常なフローボリューム曲線です。曲線の開始は左下の①からです。はじめは、息を精一杯吸い込んだ状態です。気量0、気速も0です。

呼気の開始と共に、気量と気速が上昇します。(②)
③は、グラフの頂点であり、気速が最高値になった状態です。そこから、気速が直線的に低下します。(④)
呼気が終わると気速が0となります。(⑤)

☆気量が十分あり、④の波形が直線に低下するのが正常な肺のフローボリューム曲線の特徴です。

それでは、閉塞性喚起障害と拘束性喚起障害でのフローボリューム曲線の特徴について紹介します。

フローボリューム曲線による疾患の推測

閉塞性喚起障害の波形

フローボリューム(閉塞性)

上の図が、拘束性喚起障害に見られるフローボリューム曲線です。閉塞性喚起障害というのは、末梢気道が閉塞することにより息が吐きずらくなる疾患です。
末梢気道が閉塞(細くなる)と息を吐きだしにくくなる為、気速が低下します。

その為、グラフが下降するときに下に凸になるのが特徴です。

末梢気道閉塞の代表疾患は、喘息、COPDなどがあります。COPDとは、慢性の呼吸不全で肺気腫と慢性気管支炎を合わせた疾患です。

  • 軽度障害では、気量(肺活量)は低下しませんが、グラフが下降するときに下に凸になります。すなわち、呼気速度が落ちています。喫煙者や、高齢者でもこのようなグラフが見られます。
  • 中度障害では、気量(肺活量)も低下してきます。グラフの下降するときは、下に凸になるのは同様です。
  • 高度障害になると、気速と共に気量も大幅に低下します。重症のCOPD患者に、このようなフローボリューム曲線の波形が見られます。

拘束性喚起障害の波形

フローボリューム(拘束性)

上の図が、拘束性喚起障害に見られるフローボリューム曲線です。

拘束性喚起障害の肺疾患は、肺炎・肺水腫・肺線維症など肺胞自身に障害がある疾患や、重症筋無力症など筋・神経の障害による呼吸障害なども含まれます。(ようは閉塞性喚起障害以外のこと)

拘束性では、病態が進行するに伴い肺活量が低下するため気量が下がります。曲線の形は、正常者と変わりません。
ただし、重症になるとグラフの形状も変化します。

 

上気道閉塞の波形

フローボリューム上気道閉塞
上気道閉塞では、図のように台形上の特徴的な波形となります。他にも、各疾患によっても様々な波形があります。詳しくは、フローボリューム曲線による疾患の診断(応用編)にて紹介します。

 

まとめ

それぞれの疾患によるフローボリューム曲線の特徴を理解することができたでしょうか?今回、紹介したフローボリューム曲線は、3学会合同呼吸療法認定士の試験問題にもよく出題されます。

まずは、閉塞性と拘束性の波形が区別できるようにしましょう。

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フローボリューム曲線による疾患の診断(応用編)


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