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DLCO(一酸化炭素肺拡散能)とは
DLCOとは、diffusing capacity of the lung Carbon monoxideの略称で、日本語で一酸化炭素肺拡散能という意味です。
略語の意味としては
Dは、Diffusion(拡散)
Lは、lung(肺)
COは、Carbon monoxide(一酸化炭素)の化学記号を表します。
DLCOは、肺胞から肺胞の毛細血管に酸素などのガスを供給する能力、すなわち、肺胞のガス交換能力を表します。

ちなみに、DLCOを求める方法は、「1回呼吸法、恒常法、再呼吸法」があります。一般的には、簡潔である1回呼吸法が行われます。
1回呼吸法は、窒素洗い出し曲線などを求めた、時の方法と同様です。窒素洗い出し曲線を求めるときは、100%酸素を吸入して吐き出しましたが、DLCOを求める場合は、CO(一酸化炭素)を含む混合ガスを吸入して、吐き出します。
%DLCOの正常値
DLCOの頭に、%が付いている場合は、標準化DLCOといって、予測DLCO(DLCOの正常値)に対して、実際のDLCOがどの程度の値であるかを表します。
ちなみに、予測DLCOは、性別や年齢により異なり、CHESTAC-55V(肺機能検査装置)では以下のように計算しています。
予測DLCOを、実際に測定したDLCOで割って、100を掛けた値が、%DLCOになります。
%DLCO=(測定DLCO/予測DLCO)×100
ちなみに%DLCOの正常値は、70%以上です。70%以下では、肺胞の拡散障害が生じていると診断します。
DLCO低下の原因
DLCOが低下するのは、肺に原因がある場合または、肺胞に接する血管に原因がある場合の2種類に分類することができます。
それぞれについてもう少し詳しく紹介します。
1.肺性因子
肺性因子では肺胞壁が何らかの原因により、障害が出て肺胞壁にガスが通過しにくくなり、DLCOが低下します。肺胞壁に障害が出る代表的な肺疾患としては、間質性肺炎とサルコイドーシスがあげられます。
間質性肺炎
間質性肺炎は、肺胞の間質(肺胞壁)などが炎症して、線維化を起こし肺胞壁が分厚くなり、ガスが通過しにくくなりDLCOが低下します。
間質性肺炎は、通常の肺炎のように、菌やウイルスが原因とならず、薬剤やアスベストなどが原因として突然発症することがあります。間質性肺炎は、難治性であり、予後はよくありません。
サルコイドーシス
サルコイドーシスは、原因不明に発症する難病です。全身の至る部位に類上皮乾酪性肉芽腫というものができます。これが、肺に発生すると、肺胞のガス交換を傷害してDLCOが低下します。
2.肺外性因子
心拍出量低下
心拍出量が低下すると、肺胞に接する血管の血液の流れが少なくなり、肺胞のガスが血液内に移動できる量が減少します。そのため、拡散能力が低下します。
貧血、喫煙
肺胞の酸素を受け取るのは、肺胞に接する血管の中の、ヘモグロビンです。血液中の酸素の大半は、ヘモグロビンにより運ばれます。したがって、貧血では、ヘモグロビンが減少するので、肺胞から受け取れる酸素の量が減少して、拡散能力が低下します。
喫煙や、一酸化炭素中毒では、ヘモグロビンに一酸化炭素が付くことにより、ヘモグロビンが酸素を受け取れなくなり、拡散能力が低下します。
・DLCO(一酸化炭素肺拡散能力)は、肺胞のガス交換能力を表す
・%DLCOの正常値は、70%以上
・EDLCOが低下する疾患は、『間質性肺炎、サルコイドーシス』、肺外の要因は、『心拍出量低下、貧血、一酸化炭素中毒、喫煙など』
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