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びまん性肺疾患とは
びまん性というのは、病変が均等に広がるという意味です。びまん性肺疾患では、左右の肺に均等に病変が広がっていく疾患を総称して言います。
びまん性肺疾患は、様々な疾患があります。
びまん性肺疾患の種類
【原因不明】
- 突発性肺線維症
- 膠原病の肺病変
【原因が分かるもの】
- 過敏性肺炎
- サルコイドーシス
- 薬剤性肺炎
- 放射線肺炎
- 塵肺症
突発性肺線維症とは
原因不明でびまん性炎症と繊維化をきたす肺疾患。
病理的に7つの病型に分類され最も多いのが、「通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia,UIP)」で、臨床では、突発性肺繊維症(IPF)と呼ばれます。
特徴
患者は、男性、喫煙者であることが多いです。
慢性的に進行して、発症から5年生存率は40%で予後不良です。
10~15%の患者は肺癌を合併します。
上気道炎などをきっかけで、急性増悪すると致死率80%となります。
診断
聴診でfine crackles
バチ指が多い。
補足 バチ指とは
胸部X線、胸部CT
UIPでは、肺野の縮小(横隔膜が上がる)、蜂巣肺
UIP以外の6つの病型では、びまん性のスリガラス陰影・網状陰影・線状陰影など
※画像
呼吸機能検査
拘束性喚起障害を示し、拡散障害も多い。
血液検査
CRP・LDHの上昇
間質性炎症マーカー(KL-6、SP-A,SP-D)の上昇
治療
IPFの予後を改善する治療法はないが、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤(シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンなどが)使われる。
膠原病の肺病変とは
関節リウマチ・全身性硬化症などの膠原病では、多彩な肺疾患を合併する。肺疾患の中でも、間質性肺炎が多い。
診断
肺の初見は、IIPに類似する。その為、IIPとの識別が重要である。
治療
膠原病の治療を優先して行う。病型や活動性に応じて、ステロイド・免疫抑制剤を用いる。
過敏性肺炎とは
とは
アレルゲンを繰り返し吸入することで発症する肉芽腫性のアレルギー疾患です。は、夏型過敏性肺炎が7割、他は農夫肺、鳥飼い病など
※補足
夏型過敏性肺炎
農夫肺
鳥飼い病
診断
単純X線、胸部CT
びまん性の小粒状陰影やすりガラス陰影
呼吸機能検査
拘束性喚起障害
血液検査
CRP、LDHの上昇
間質性肺炎マーカーの上昇
気管支鏡検査(TBLB)
TBLBで肉芽腫と間質の炎症を認める
気管支肺胞洗浄
BALでリンパ球(特にTリンパ球)が増加する。
補足 BALとは
気管支鏡を使って、肺内に生理食塩水を注入して肺を洗う検査
治療
アレルゲンを吸わなければ良いので、入院隔離する。それでも改善しない場合は、副腎皮質ステロイドを投与する。
薬剤性肺炎とは
薬剤の副作用により発症する肺炎のこと。あらゆる薬剤で発症する可能性がある。抗菌薬などによるアレルギー性と抗がん剤による非アレルギー性がある。
治療経過中に新たな陰影が現れたら疑う。
治療
疑いのある薬剤を中止する。中止しても改善しない場合は、副腎皮質ステロイドの投与を行います。
サルコイドーシスとは
原因不明の肉芽腫性全身性疾患。全身に肉芽腫が発生するが、最も発生頻度が高いのが肺です。
特徴
若い年齢に多い
診断
胸部単純X線、胸部CTで両側肺門部のリンパ節腫大と肺野陰影
治療
自然治癒する場合もある
副腎皮質ステロイドが効果的
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