酸素飽和度とチアノーゼの関係

酸素飽和度とチアノーゼについて

酸素飽和度(SaO2)とは

血液中には、酸素を運搬する働きをするヘモグロビンという物質があります。そのうち酸素と結合したヘモグロビンを酸化ヘモグロビン、酸素と結合していないヘモグロビンを還元ヘモグロビンといいます。

酸素飽和度とは、全ヘモグロビンのうちの酸化ヘモグロビンの割合を表した値で%であらわされます。式に表すと、以下のようになります。

酸素飽和度(%)=酸化Hb÷全Hb×100

酸素飽和度は、パルスオキシメータにより測定することができます。ちなみにパルスオキシメータは1974年に日本光電株式会社の青柳卓雄らによって発明されました。

パルスオキシメータは、赤色光と赤外光を照射して、還元ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンの吸光度の違いにより酸素飽和度を測定しています。ちなみに、パルスオキシメータによって差測定された、SaO2は、PpO2などと表したりします。SaO2とSpO2は、同じものと考えて問題ありません。

酸素飽和度(SaO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の関係

SaO2とPaO2は、一定の関係があり、SaO2の値からPaO2のおおよその値を推測することができます。PaO2は、動脈穿刺をして動脈血を採取して、欠ガス分析装置により測定する為、手間がかかるし、動脈注射はかなりの痛みがあります。それに対して、SpO2はパルスオキシメータによって非侵襲的に測定することができます。

SaO2とPaO2の関係は、以下のようになります。

解離曲線(EARLの医学ノート)より

代表的な以下の関係くらいは、頭に入れておきましょう。

SpO2とPaO2の関係
SpO2(%) PaO2(mmHg)
98 104
90 60
75 40

低酸素血症の基準は、PaO2が60mmHg以下とされています。PaO2が60mmHgのときのSaO2は、90%です。SaO2が90%を下回ってきたら、酸素吸入など何らかの処置をする必要があります。

チアノーゼとは

チアノーゼとは、高度の低酸素血症により手足の指先や唇などの粘膜が青紫色になる状態です。酸化ヘモグロビンが赤色をしているのに対して、還元ヘモグロビンはどす黒い色をしているためこのような現象が起こります。

正確な、チアノーゼの基準は、還元ヘモグロビンの量により診断します。還元ヘモグロビンが、5g/dl以上になった状態をチアノーゼといいます。

健常者のヘモグロビンの量は、15g/dl程度ですので、チアノーゼになった時の、SaO2は、
(5/15)×100=67
となり、低酸素血症の基準である、SpO2の基準値である90%を、大きく下回っており、高度の低酸素血症であるということがわかります。

血液中の酸素の大部分は、ヘモグロビンに含まれており、ヘモグロビン以外の血漿に溶け込んでいる酸素(PaO2)は、ごくわずかです。

ちなみに動脈血中に含まれる酸素の量は酸素含有量と呼ばれ、以下の計算式により測定することができます。

酸素含有量(CaO2)=(7.5×1.34×SaO2/100)+(0.003×PaO2)

上記の式からも分かる通り、血液中の酸素のほとんどは、ヘモグロビンにより支配されます。その為、血液中のヘモグロビンが低下するような貧血では、低酸素血症に非常に陥りやすくなります。


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