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COPDとは
COPDというのは、肺気腫と慢性気管支炎を合併した疾患をいいます。
肺気腫というのは、肺胞の炎症によって、肺胞の細胞が破壊される疾患です。その結果、風船の弾力が無くなり伸び切ったように、肺が膨らんでしまいます。

肺胞は、膨らんだり縮んだりして換気をしているので肺気腫になると肺胞が壊れて膨らみっぱなしになる為、ガスの換気量が減少します。
慢性気管支炎では、気管支が長年炎症を起こしたことにより肥厚して空気の通り道が狭くなります。また、炎症により痰などの分泌物も増える為、さらに気道の空気の流れが悪くなります。症状としては、息を吐き出しにくくなります。

したがって、COPDでは肺気腫と慢性気管支炎により「換気量の減少」「息が吐き出しにくくなる」というのが主な症状となります。まずは、この2つをしっかりと覚えてください。
COPDの概念
- COPDの最も多い原因は、タバコです。タバコなどの有害成分により気道・肺胞が炎症を起こします。
- ゆっくりと進行するので60歳以降で症状が出てきてから受診して気づく人が多いです。
- 男女比は3:1程です。これは、男性の喫煙率が多いからでしょう。
- 慢性気管支炎の定義は、2年以上にわたって3か月以上咳痰が続き、他の疾患を除外できる状態とされます。
COPDの診断
診断内容について覚えやすいようになぜそうなるかをいています。
【症状】
喫煙歴のある男性に進行する息切れ
【初見】
呼気延長、肺性心では浮腫や頸静脈怒張
気道が細くなり息を吐き出しにくなるので、呼気が延長したり口すぼめ呼吸をしている場合があります。また、長年の低酸素血症により肺性心を合併している場合もあります。
【検査】
・1秒率70%未満、%1秒率により重症度を評価
気道が細くなり、息を吐き出しにくくなるので1秒率は低下します。ちなみに、1秒率70%未満は、閉塞性肺疾患の診断基準となっています。
・TLC、RV、FRCが増加、残気率が増加
肺の弾力が弱くなり過膨張となるのでTLC(全肺気量)は増加します。
呼気時に肺が縮みにくくなるので予備呼気量が減り、相対的にRV(残気量)、FRC(機能的残気量)が増加します。
残気率というのは、RVの割合です。RV÷TLC×100〔%〕で表します。肺気腫では、RVが増加するので残気率は増加します。

正常の肺気量分画と肺気腫の肺気量分画の図を下に搭載します。何が減少して何が増加するのかをしっかりと確認しておいてください。

肺気腫の肺気量分画
肺気腫では、全体的にグラフが上に持ち上がり、呼び込気量が減少するのが特徴です。
・DLCO低下、拡散能低下
肺胞が壊されるので、換気量だけでなく、肺胞の拡散能力も低下します。
・静肺コンプライアンス上昇
肺の弾力を失い柔らかくなるので、膨らみやすくなります。
・気道抵抗と呼吸抵抗の増加
気道が細くなり息を吐き出しにくくなるので、気道抵抗が増加します。
【動脈血液ガス】
・PaO₂の低下、PaCO₂の増加
換気量が減少するので、PaCO₂が増加します。COPDは、代表的な閉塞性呼吸疾患です。
【単純X線】
X線は空気は透過する部分は黒く映り、空気を通らないものは白く映ります。したがって、肺はほとんどが空気を含んでいるので黒く写ります。
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/about/04.htmlより
COPDでは、肺胞壁が壊れて肺が過膨張するので肺全体が大きく映ります。(黒い部分が多くなります。)具体的には、横隔膜が下がり(横隔膜の平低化)心臓が下のほうまで映るので心臓が縦長に見えます。また、横から撮影すると胸郭の前後計が増加しているのも分かります。
【胸部CT】
CTでは、体を輪切りにした像を確認することができます。肺気腫では、気腫性病変(低吸収域)が見られます。これは、黒く空洞になった部分のことです。肺胞の壁が壊れて膨張するので黒い丸として映ります。重症になるほど黒い丸が多く大きくなります。(下の写真はかなりの重症です。)
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/about/04.htmlより
COPDのまとめ
- COPDは、慢性気管支炎と肺気腫を合併した閉塞性肺疾患のこと。
- COPDでは、肺気腫による換気量減少と慢性気管支炎により息が吐き出しくなるという症状があります。
- COPDの診断のための知識も余裕があれば覚えていきましょう。(なぜそうなるのかというのを意識すれば記憶に残ります)
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