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コンプライアンスとは
コンプライアンスは、肺の膨らみやすさを表す単位です。
具体的には、1㎝H2Oの圧力をかけたときに肺容量が何ml増加するかです。

肺のコンプライアンス
したがって、仮に3㎝H2Oの圧をかけて、600ml膨らんだとしたら
600÷3=200〔ml/cmH2O〕
というように、肺のコンプライアンスは200と求めることができます。一般的な公式としては、以下になりますね。
C=肺気量の変化(ml)/胸腔内圧の変化(cmH2)
コンプライアンスの求め方
自発呼吸時のコンプライアンス測定
肺のコンプライアンスは、以下の式で求めることができると説明しましたね。
C=肺気量の変化(ml)/胸腔内圧の変化(cmH2)
肺気量の変化量を胸腔内圧の変化量で割ると、1㎝H2O当たりの変化量を求めることができるからです。
自発呼吸中の、肺のコンプライアンスもこの式に当てはめて計算します。
自発呼吸中の肺気量の変化は、スパイログラフィ―やボディプレチスモグラフィーなどで測定します。
胸腔内圧は、直接測定することは困難です。その為、胸腔内圧の代わりに、食道内圧で代用します。食道の上1/3にバルーンを留置して測定します。
例えば、吸気600ml時に食道内圧が3㎝H2O変化した場合は、コンプライアンスは600÷3=200ml/cmH2Oとなります。

気道内圧と肺容量の関係
自発呼吸中の肺コンプライアンス
C=肺容量の変化/食道内圧の変化量〔ml/cmH2O〕
人工呼吸中のコンプライアンス測定
人工呼吸中の肺コンプライアンスには、静肺コンプライアンスと動肺コンプライアンスというものがあります。静肺コンプライアンスは、人工呼吸中の喚起を中断する必要があるので重症患者には危険です。
ここでは、一般的によく用いられる動肺コンプライアンスの測定方法について説明します。
動肺コンプライアンスとは、人工呼吸器使用中の圧波形より計算する方法です。
C=肺気量の変化(ml)/胸腔内圧の変化(cmH2)
肺気量の変化は、人工呼吸器で設定した1回換気量です。胸腔内圧は、気道内圧で代用します。
下の図は、吸気から呼気終了までの1呼吸分の気道内圧を表したグラフです。

気道内圧曲線
- 吸気は、空気を肺にどんどんと送り込んでいる状態です。
- 吸気ポーズは、ガスを送り込んだ後、一時停止した状態。
- 呼気は、送り込んだ空気を吐き出す状態です。
コンプライアンスを求める場合は、このグラフの中でプラトー圧の値を用いて計算します。
C=肺容量の変化/プラトー圧〔ml/cmH2O〕
最高気道内圧を使わない理由は、気道抵抗による圧力が含まれているからです。前項、でも学習しましたが空気が気道に流れるときは気道内圧がかかります。吸気中の圧力は、肺の弾性による圧力と気道抵抗による圧力の両方がかかります。
コンプライアンスというのは、肺の弾性による膨らみやすさなので、肺の弾性による圧力のみを用います。
吸気停止した状態は、気道抵抗はなくなり肺の弾性のみの圧力となります。この状態での、コンプライアンスを計算します。
今回の、人工呼吸器の1回換気量が500ml、プラトー圧が20㎝H2Oだったとしたら
C=500÷20=250ml/cmH2Oとなります。
グラフィックモニターからは以下のように読み取ることができます。

気道内圧のグラフの読み取り方
最高気道内圧とプラトー圧の差が「気道抵抗」による圧力。プラトー圧が、「肺の弾性抵抗による圧力」を表します。
まとめ
- コンプライアンスは、肺の膨らみやすさのこと。
- 具体的には、1㎝H2Oで何ml膨らむか。
- 人工呼吸中のコンプライアンスは、プラトー圧を使って計算する。
今回の内容は、試験にもよく出題されます。しっかりと理解できるようになりましょう。
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