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胸部外傷に関する対応方法について
胸部外傷に関する対応方法は、呼吸療法認定士の試験でもよく出題されます。それぞれの外傷名と対応方法を簡単に覚えておきましょう。重要ポイントは、色を付けています。
胸部外傷の種類と対応
1.急性心タンポナーデ
急性心タンポナーデとは
急性心タンポナーデとは、外傷などにより二層になっている心臓の膜の間に、血液や体液が貯留する病態です。貯留量が多くなると、心臓が圧迫され十分な拍出量を得られなくなります。
(http://homepage2.nifty.com/luminaries/familiar/Medicinal/shinzou_a02.gifより引用)
急性心タンポナーデの治療法
①心嚢ドレナージ
心嚢ドレナージとは、心臓超音波にて、穿刺部位を確認しながら心臓に穿刺して溜まった心嚢液を採取して排液する方法です。
②心膜開窓術
心膜開胸術とは、心膜の一部を切除して、溜まった心嚢液を排出する手術です。開胸手術以外にも、胸腔鏡下での手術も行うことができます。
③緊急開胸術
急性心タンポナーデでは、心嚢ドレナージにて治療することが多いですが、ドレーンからの排液量が多い場合は、開胸して止血治療を行う必要があります。
2.フレイルチェスト
フレイルチェストとは、外傷などにより1本の肋骨が2ヶ所以上で骨折したものが3本以上連続すると発生します。骨折した骨により、呼吸による胸壁運動が障害されることにより、呼吸不全に陥ります。
フレイルチェストの治療
①内固定
フレイルチェストの基本的な治療は、内固定です。内固定とは、気管内挿管にて人工呼吸器にて陽圧をかけて、胸腔が安定されるのを待つ保存的固定方法です。
②外固定
骨折した肋骨が肺に刺さったりして、気胸・肺挫傷などの重症の肺合併症を併発した場合は、手術により外固定を行います。
3.急性上気道閉塞
急性上気道閉塞とは
急性上気道閉塞とは、気道出血,吐物,異物などにより、上気道が閉塞する病態です。
急性上気道閉塞の治療
上気道の外傷や出血などにより、挿管が困難な場合は、輪状甲状腺切開を行います。甲状軟骨と輪状軟骨の間にある輪状甲状間膜を切開して、気道を確保する方法です。
4.血胸
血胸とは
血胸とは、胸腔内に血液がたまった状態です。
血胸の治療
血胸では、胸腔内にカテーテルを挿入する、胸腔ドレーンにて血液を排液します。ただし、以下の場合は、開胸手術により止血を行います。
・血液の排液量が、1000ml超える場合
・ドレーン開始後に1時間で500ml以上の出血が認められる場合
・毎時200ml以上の出血が3時間以上持続した場合
・大量輸血しても血圧が安定しない場合
5.緊張性気胸
緊張性気胸とは
気胸とは、肺が破れることにより、空気が胸腔に漏れてしまう状態です。緊張性気胸は、気胸の中でも最も症状の重いものです。対応が遅いと、呼吸困難や心臓の圧迫により、急死する恐れもあります。
緊張性気胸の治療
緊張性気胸が疑われる場合は、胸部エックス線写真による確診を待たずに,速やかに胸腔穿刺または胸腔ドレナージをして、胸腔内に溜まった空気を除去します。
(参考文献)
呼吸療法認定士試験対策たしかめドリル 攻略2015P103,104
第20回3学会合同呼吸療法認定士 認定講習会テキスト
日本救急医学会HP(http://www.jaam.jp/html/dictionary/dictionary/word/0220.htm)
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