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用手人工喚起器具
用手人工喚起器具として、『蘇生バック、ジャクソンリース回路』が用いられます。用手人工喚起器具では電源を確保しなくても喚起できることから、患者搬送時や人工呼吸器の回路交換時、人工呼吸器故障時、停電時など、緊急時に使用されます。また、用手人工喚起器具は、人工呼吸器のそばに携帯しておくようにガイドラインでも記載されています。
今回は、蘇生バックとジャクソンリース回路の特徴について紹介します。
蘇生バック(アンビュバック)
蘇生バッグの構成
蘇生バックとは、手動で人工呼吸を行うことのできる器具です。呼び方は、蘇生バック以外に、アンビュバック、バッグバルブマスク(BVM)などいろいろあります。
蘇生バックの外見は、楕円形のラグビーボールのような形状をしています。バックには、一方弁が付いておりその弁に酸素マスクを装着するまたは、挿管チューブに接続します。そして、バックを押しつぶすことで、空気を送り出すことができます。また、空気を押し出してもバックは自然に膨らんで元の形に戻ります。一定のリズムでバックを押しつぶすことを繰り返して患者の呼吸状態を保ちます。蘇生バック単体で用いた場合は、空気を送ることしかできませんが、蘇生バックに、酸素配管と接続した専用のリザーババッグやリザーバホースを接続することにより高濃度の酸素を供給することもできます。

(http://ops.umin.ac.jp/ops/paper/051215aeml_data/pre26_a.htmlより)
蘇生バッグの特徴
蘇生バッグについて覚えておきたい特徴としては
・蘇生バッグは、自己拡張が可能な為、酸素などのガス原がなくても使用可能。
・リザーバと酸素のガス源を接続することにより高濃度酸素の投与が可能であり、また酸素流量の調節により酸素濃度の大まかな調整ができる。
・蘇生バッグでは、二酸化炭素の再呼吸が生じない。(理由は、こちらのサイトを参照ください)
・高価
・肺の状態(コンプライアンス)を感じ取りにくい為、肺の状態を把握しにくい。
・加圧時の圧力を把握しにくい(圧力計付きでは把握できる)
ジャクソンリース回路
ジャクソンリース回路の構成
ジャクソンリース回路は、蘇生バッグのような一方弁が装着されておらず、簡易的な構造をしています。
蘇生バッグでは、押しつぶしても自動的にバッグが膨らみますが、ジャクソンリース回路の場合は、バッグをガス源に接続して、高流量のガスを流すことによりバッグを膨らましています。
具体的には、酸素は、分時間気量の2~3倍の流量で流します。その為、酸素ガスなどのガス原がないと使用することができません。
(ジャクソンリース回路の構成 www.info.pmda.go.jpより)
ジャクソンリース回路の特徴
ジャクソンリース回路について覚えておきたい特徴は
・高流量の酸素ガスにより、バッグを膨らますため、ガス原がないと使用できない。
・100%酸素を駆動減とするので、高濃度酸素の投与が容易にできます。逆に、酸素濃度を中程度など下げることが難しいです。(酸素ブレンダを装着すれば調整できる。)
・バッグの押し具合により加圧圧力を感じ取りやすい
・CO2の再呼吸がある。ガス流量に依存してCO2の再呼吸が起こる。再呼吸を防ぐために、が数流量を速くする必要があります。
・安価
まとめ
今回の説明で、人工蘇生器とジャクソンリース回路の特徴について理解できたでしょうか?用手人工喚起器具は、呼吸器分野では、頻繁に使用されるのでしっかりと原理と特徴について知っておいてください。
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