「ボーア効果と酸素解離曲線の右方移動」について

今回は、ボーア効果と酸素解離曲線の右方移動について分かりやすく紹介します。これらは、呼吸療法認定士の試験にも良く出題されますのでしっかり押さえておきましょう。それでは、さっそく説明に入ります。

 

ボーア効果とは

以前に、酸素飽和度とPaO2の関係を紹介しました。

SaO2とPaO2の関係は、以下のようになります。ちなみに、SaO2は、全ヘモグロビン中の酸化ヘモグロビンの割合、PaO2は、ヘモグロビン以外の動脈血の血漿中に溶け込んでいる酸素を表します。

酸素飽和度(http://www.eonet.ne.jp/より引用)

ただし、この関係は常に一定では、ありません。「体温の変化、pHの変化、乳酸、赤血球内の2,3DPG」の変化により、SaO2とPaO2の関係が変化します。

基本的には、運動すると酸素解離曲線が右方移動します。右方移動とは、ヘモグロビンが酸素と結合しにくくなる状態です。すなわち、ヘモグロビンが酸素を離して、酸素が溶存酸素(PaO2)が増えます。

ボーア効果(http://plaza.umin.ac.jp/より引用)

それでは、右方移動するとどうなるのでしょうか?

例えば、通常SaO290%時のPaO2は60mmHgです。これが、酸素解離曲線が右方移動していた状態では、SaO290%でもPaO2が90mmHgもあったりします。

これは、どうゆうことかというと、組織に酸素がたくさん必要となる状態になった場合は、ヘモグロビンから酸素が分離されやすくなります。それにより、溶存酸素(PaO2)が増えて組織に酸素が供給されやすくなります。

酸素解離曲線が、右方移動するのは、どのようなときかは、呼吸療法認定士の試験でも良く出題されるのでしっかり覚えましょう。

酸素解離曲線が右方移動するのは、運動したときのことを思い出すと分かりやすいです。腕立て伏せをしたとします。腕の酸素がたくさん消費されて、腕周辺の血液中の二酸化炭素が上昇します。二酸化炭素が上昇するとpHが低下します。(ヘンダーソンの式参照)また、筋肉を激しく動かすと乳酸が増えます。乳酸もpHを下げる作用があります。また、運動すると筋肉から熱が発生して、体温が上昇します。このような、運動することにより起こる現象すべてが酸素解離曲線の右方移動を促進します。人間の体は、よくできているとつくづく感心しますね。

酸素解離曲線が右方移動する因子

・体温上昇
・PaCO2上昇
・乳酸上昇
・pH低下
・赤血球内の2,3DPG上昇

ちなみに2,3DPGとは、ジホスホグリセリン酸といって、慢性の低酸素血症の患者で上昇しやすくなります。

 

酸素解離曲線が左側に戻る場合(左方移動)もあります。右方移動と逆の原因で起こります。

酸素解離曲線が左方移動する因子

・体温の低下
・PaCO2の低下
・乳酸の低下
・pH上昇
・赤血球内の2,3DPGの低下