今回は、肺循環の特徴を学んでいきます。
それではさっそく始めましょう!
肺循環ていうのは、右心系の循環のことです。血液の流れとしては、『右心室⇒肺⇒右心房』という順番です。
今回は、この肺循環の特徴について勉強しましょう。
目次(クリックすると移動します)
肺循環は圧力が低い

肺循環の最も大きな特徴は、圧力が低いということです。肺動脈の圧力は、血圧の1/6、肺血管抵抗は全身血管抵抗の1/10です。
とりあえずこれだけを覚えておけばこの内容はオッケーです。
圧力が低いとどうなるか?
肺循環の特徴としては、圧力が低いということを覚えてもらいました。それでは、肺血管の圧力が低いとどうなるのかを説明します。
重力の影響を大きく受ける
肺血管の圧力が低いということは、具体的には心臓から肺血管に血液を流す力が弱いということです。その為、肺の部位によって血液の流れ方が変わります。
立位では、重力の影響で血液は下に下がります。肺尖部(肺の上側)の血流は少なくなります。それに対して、肺底部(肺の下側)の血流は多くなります。

立位の肺血流の違い
仰向けになるとどうなるでしょうか?(少し考えてから読み進めてください。)
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腹部の血流は少なくなります。それに対して、背部の肺血管の血流は多くなります。

仰臥位の血流の違い
このように、肺血管は圧力が低いので重力の影響を強く受けるということを覚えておいてください。
ちなみに、このような肺血管が重力の影響を受けることは、ガス交換においては都合の良い現象なのです。理由は以下に説明します。
補足ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

肺尖部と肺底部のガス交換量の違い
胸腔内圧は気圧の影響を受けて、上(肺尖部)に行くほど圧力が低く、肺底部に向かうほど圧力が高くなります。(胸腔内圧は、1㎝垂直方向に上にいくにつれ0.25cmH2Oずつ圧力が低下します。)
(胸腔内圧って何?!という人は「胸腔の圧力について」で確認してね)
山の上では、気圧が低く平地に行くと気圧が下がります。これが体の中の小さなスペースでも同じようなことが起こるのです。。。
胸腔内圧の違いにより、肺の部位によって肺胞の膨らみぐわいに違いが現れます。
具体的には・・・
胸腔内圧が低い肺尖部は、呼気終了時においても肺胞は膨らみっぱなしになります。その為、吸気時に空気を取り入れる量が少ししかありません。
肺底部は、肺尖部と比較して胸腔内圧が高いので、呼気終了時に肺胞が小さく縮みます。その為、膨らむための余裕がたくさんあるので吸気時にたくさんの空気を取り入れることができます。
ということでガス交換量の多い肺底部では血流が多く、肺尖部のガス交換の少ない肺胞では血流が少なくなります。たくさんガス交換が行われる肺底部において、より多くの血流が流れます。このように人間の体は、ガス交換において効率的な仕組みになっています。

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心拍出量が増えても血管抵抗が変わらない
肺血管の壁は薄いので、血流が増えても柔軟に広がるので抵抗が上がりにくい。(血流が流れやすい構造になっている)また、平常時は虚脱している肺動脈もあり、血流が増えたときのみ血液が流れるという通り道もある。
肺循環の特徴まとめ
- 肺血管は、圧力が低い。
- 圧力が低いので体位により血流が変化する。
- 肺血管は薄く柔らかいので、血流が増えてもスムーズに血液が流れる。
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