酸塩基平衡の種類(呼吸性と代謝性)

アシドーシス、アルカローシスなどの酸塩基平衡障害の種類を説明します。これを理解するには、○○、○○の知識が必要です。まだ、理解していない場合は、
・phについて
・CO²と換気量

で確認しておいてください。
それでは、はじめましょう!

酸塩基障害とは?

生命活動を維持するためには、phが7.4±0.05の状態を維持する必要があります。何らかの原因によりphのバランスが崩れた状態を酸塩基障害といいます。

酸塩基障害の過程は、以下の過程で進行します。

  1. 一次障害
    CO²の喚起障害、または生体の代謝(固定酸)の異常
    (アシドーシス、アルカローシス)
  2. phの異常
    H⁺の異常値
  3. 代償反応
    代償反応によりphが基準値に戻ろうとする

一次障害

一次障害は、喚起障害や代謝障害が発生した初期に現れる症状です。以下の4つに分類されます。

呼吸性

  • 呼吸性アシドーシス
    (換気量の低下によるPaCO²の上昇)
  • 代謝性アルカローシス
    (換気量上昇によるPaCO²の低下)

代謝性

  • 代謝性アシドーシス
    (固定酸の増加)
  • 代謝性アルカローシス
    (固定酸の減少)

【分類方法】

まずは、呼吸性と代謝性に分類されます。

肺胞の喚起障害により、PaCO²が異常値になった場合を呼吸性、代謝が原因の場合を代謝性と分類します。

アシドーシスとアルカローシスの分類は、phがどのように変化していくかということです。phが低下する用に作用する場合は、アシドーシス、phが上昇する方向に作用する場合を、アルカローシスといいます。

【呼吸性の説明】

例えば、換気量が減少するとCO²の排出量が低下するためPaCO²が上昇しますね。

続いてCO²は、時間がたつと血液中でH²Oと反応してH⁺とHCO3̠⁻に変化します。H⁺が増えると、phは低下します。(参照)

このように換気量低下(PaCO²が上昇)によりphが下がる状態を呼吸性アシドーシスと呼びます。

反対に、過換気になるとPaCO²が減少してphが上昇します。このように換気量上昇(PaCO²低下)によりphが上昇する状態を呼吸性アルカローシスと呼びます。

【代謝性の説明】

代謝性は、固定酸(HCO³⁻など)の異常値によりphが変化する場合などです。呼吸性と違ってさまざまな原因があるので判断が難しいです。
(参照:)

例えば、腎臓が障害されるとHCO³⁻が作られる量が減少します。血液中のHCO³⁻は、H̟̟⁺を排出する作用があるので、HCO³⁻が減少すとH⁺が上昇して酸性に移行していきます。

このように代謝が原因でphが低下していく状態を代謝性アシドーシスといいます。反対に、代謝が原因でphが上昇していく状態を代謝性アルカローシスといいます。

代謝性の場合は、原因となる疾患が多いので別のページで紹介します。

アシデミア・アルカレミア

アシドーシスとアシデミア、アルカローシスとアルカレミアそれぞれの意味を混同しやすいので違いを説明しておきます。

まず、アシデミア・アルカレミアというのは、単純にphの異常値を表す言葉です。

phが7.35以下をアシデミア、ph7.45以上をアルカデミアと呼びます。

対して、アシドーシスやアルカローシスは、病態を反映する言葉と言えます。PaCO²が上昇したりして生体が酸性に移行するように作用している状態をアシドーシスといいます。

PaCO²が低下して、アルカリ性になるように作用している状態をアルカローシスといいます。

アシドーシスやアルカローシスは、phの値に関係なく病態の状態を表す言葉として使われます。したがって、phが7.35を以下であってもアシドーシスと呼んでもいいわけです。

代償反応

phを調整する臓器は、呼吸と腎臓が中心となって行われます。したがって、どちらか一方が障害されると、もう一方によりphを補正するように働きます。

腎臓による代償

例えば、換気量低下によりPaCO²が上昇してphが低下したとします。(呼吸性アシドーシス)

この場合、phを上げなければなりません。腎臓では、

H₂O + CO₂ → H₂CO₃→HCO₃⁻ + H⁺

という反応が促進されて、HCO₃⁻の産生増加とH⁺の尿中排出量が促進されてphが上がるように働きます。ただし、このような腎臓による代償反応はスピードが遅く2~5日程度かかります。

呼吸による代償

腎機能低下によりphが低下したとします。(代謝性アシドーシス)

この場合は、呼吸による代償反応が起こります。

CO2の排出量を増やして、H⁺の上昇を防ぎます。

呼吸による代償反応は、スピードが速く分単位で行われます。

まとめ

このように、酸塩基障害が発生すると代償反応が起こる為、時間の経過とともに血液ガスのデーターが変化します。

血液ガスの状態により病態や治療方法を検討するためにも今回学んだ知識はとても重要になってきます。

  • 酸塩基障害とは、代謝や喚起の異常によりphが変動するように作用すること。
  • アシドーシスとは、phが低下する用に作用すること。アシドーシスは、phが上昇するように作用すること。
  • アシデミアとは、phが7.35以下の状態、アルカデミアは、phが7.45の状態
  • 腎臓、呼吸のどちらか一方が障害されても代償反応によりphが補正される。

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