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生体の酸塩基調整
酸性、アルカリ性という言葉は日常生活でもよく耳にすると思います。この酸塩基というのは、具体的には水溶液中のH+濃度のことを表します。
H+の濃度が高い状態を酸性、低い状態をアルカリ性といいます。ちなみに人間が、生命活動を維持するためには、一定範囲(7.4±0.05)のH+濃度である必要があります。
この状態が、生体内の酵素が良く働く状態だといわれています。
生体の代謝過程では、常にH+が作り続けられています。そこで、過剰なH+を排泄したり中和することが必要となります。この調整は、主に呼吸と腎臓により行われます。
phとは
pHは、酸塩基の程度を表す単位です。具体的には、1L中に何molのH+が含まれているかを表し、1~14の範囲で表します。
phの値は水素イオン濃度を以下の対数の式で表しています。
pH=-log[H+]
たとえば、水素イオン濃度(H+)が、10-7mol/Lの場合は、式に当てはめて
pH=-log10-7
これを計算すると
pH=7 となります。
対数の計算は、高校で習うと思いますが、この計算方法は分からなくて大丈夫です。
別サイト:対数の計算方法
各水素イオン濃度に対する、pHは以下のようになります。このイメージが分かれば大丈夫です。
10-0mol/L→pH=0
(1mol/L)
10-1mol/L→pH=1
10-2mol/L→pH=2
10-3mol/L→pH=3
10-4mol/L→pH=4
10-5mol/L→pH=5
10-6mol/L→pH=6
10-7mol/L→pH=7
10-8mol/L→pH=8
10-9mol/L→pH=9
10-10mol/L→pH=10
10-11mol/L→pH=11
10-12mol/L→pH=12
10-13mol/L→pH=13
10-14mol/L→pH=14
『水素イオン濃度が低いほど、pHの値が大きくなる。水素イオン濃度が高いほどpHの値が小さくなる』ということが分かっていればオッケーです。
※図1挿入
ちなみに、pH=0~6を酸性、pH=7を中性、pH8~14をアルカリ性といいます。人間の場合はpH=7.4±0.05なので弱アルカリ性といいます。
腎・肺による排出
水素イオンは、代謝の過程で常に作られ続けています。ここからは、体内でH+がどのように排泄されているかを説明します。
腎・肺での排出
HCO3– + H+→ H2CO3 → H2O + CO2
血液中のHCO3-は、H+と結合してH2CO3となります。は、H2CO3さらにH2OとCO2に分離します。
H2Oは、腎臓から尿として排出されます。CO2は、呼吸により待機中に排出されます。
近位尿細管からの排出
H2O + CO2→ H2CO3→ HCO3- + H+
近位尿細管からもH+の排出があります。近近尿細管では、H2O とCO2を結合して、H2CO3を作ります。H2CO3は、
HCO3ーとH+に分離されます。H+は、尿として腎臓から排出されます。HCO3-は、再吸収されて血液中に移動します。
まとめ
- 酸・塩基とは、H+濃度のこと
- phは、H+濃度を表す値。数値が大きいほど濃度が低く、数値が小さいほど濃度が高い。
- 生体の正常なphは、7.4±0.05
- H+は、腎臓や呼吸により排出される。
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