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A-aDO2とは
A-aDO₂は、呼吸療法全般を理解する為に、必須の知識です。ここを理解することにより、その他の分野の理解も深まります。試験にも必須なのでしっかりと確認しておきましょう。
まずA-aDO2とかいて「エーエーディーオーツー」と読みます。日本語で、「肺胞気・動脈血酸素分圧較差」といいます。
すなわち、肺胞器酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の差のことです。

A-aDO2を求めることにより肺胞でのガス交換が正常にできているかを判断することができます。
ちなみにA-aDO2の略語の意味について・・・
『A』は、肺胞(Alveolus)
『a』は、動脈(artery)
『D』は、差(Difference)
『O2』は、そのまんま酸素を表します。
PAO₂は、肺胞に入ったガスの酸素の量を表します。肺胞に含まれる酸素が肺胞の毛細血管をとおって、動脈血となります。
肺胞から、毛細血管に酸素が移動するときにさまざまな理由により、酸素分圧が低下します。その為、PAO2とPaCO2の関係は、PAO2>PaO2となります。
室内の吸入でのA-aDO2の正常値は、5~15mmHgです。20mmHgを超えると肺胞でのガス交換障害があると判断します。酸素吸入化では、A-aDO2は増大するので、酸素吸入をしていない時に、測定する必要があります。
肺胞でのガス交換障害(肺胞の拡散障害)になる原因としては、「喚起血流比不均等(死腔、シャント)・拡散障害・右左シャントなど」です。

A-aDO2の求め方
A-aDO2をもとめるには、PAO2とPaO2の値を知る必要があります。PaO2は、動脈血を採取して血液ガス分析装置で測定します。それに対して、PAO2は肺胞に含まれる酸素分圧のため、直接測定することができません。
その為、PAO2は計算式によって理論値を求めることになります。
ちなみにPAO2の計算式は、以下になります。少々複雑ですが試験にも出題されるので確実に覚えてください。
PAO2=(760-47)×0.21-PaCO2/0.8 で求めます。
ちなみに上の式の『(760-47)×0.21』は、気道に入った酸素の量、すなわちPIO₂(吸入気酸素分圧)のことです。
なので上の式を簡略化すると、PAO₂=PIO₂-PaO₂/0.8 と表すこともできます。

なんだかよく分からないという方は、丸覚えでもいいのです。(試験対策としては)
PAO2=(760-47)×0.21-PaCO2/0.8 を覚えておきましょう
ただ式の意味を理解したほうが、応用問題にも対処することができます。
式の意味についても簡単に説明します。めんどくさい人は、式の説明は飛ばしてください。
PAO2をもとめることができれば、PAO2からPaO2を引くことにより、A-aDO2を求めることができます。A-aDO2を求める問題は、呼吸療法認定士の試験によく出題されるのでしっかり覚えましょう。
ガス交換障害の原因
さきほどA-aDO2が増加する原因の一つとして、肺胞での喚起障害と言いました。
その喚起障害の原因についても、簡単に説明します。
まず喚起障害とは、肺胞から血管に酸素がスムーズに移動していないということです。大まかには次の2つの原因があります。
①喚起血流比不均等
喚起血流比不均等とは、換気と血流のバランスがマッチしていないということです。血流が良いが肺胞が詰まっていたり、肺胞は正常だけど血流が少なかったりなど、効率的に肺胞と毛細血管でガス交換ができない場合をいいます。
②拡散障害
拡散障害とは、肺胞の毛細血管が太くなったり、肺胞に水が溜まったり、肺胞の壁が分厚くなるなど、様々な原因で肺胞から血管に酸素が移動しにくくなる状態です。
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